ドキュメンタリーやリポート動画の難しさは、素材のカット数が多すぎること。
順列組み合わせにすると無限に近い並びになります。
なので使える動画は編集前に当たりをつけ、シーンに割り振るのがセオリーです。

物語は団子のように繋げ
先日撮影した動画を例にとります。街の行事をやや長尺の9分にまとめたものです。
編集の過程でカットやシーンを十数回入れ替え、事前に考えていた構成イメージとは全く違う仕上がりになりました。
ドキュメンタリー系の動画ではよくあることです。
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編集のテクニックとはカットのこだわり以上にシーンの繋がりであることを感じます。
計画を立てて撮影したものの、たくさんの素材を前に編集に悩まれる人も多いと思います。編集のコツとは二つあります。
一つは捨てること。もう一つはまとめることです。
編集は5分を超えると難しくなる
情報を相手に伝える動画は実際に作ってみるとわかりますが、5分を超えたあたりから難度が上がります。
編集画面自体が映像で埋まってくると、どこにどんな映像があったのかわかりにくくなります。
編集に必要な映像を探し出すため、メディアプールの中にある素材を探す手間が増えるからです。
また、編集画面のカットを入れ替える手間も増えます。
カーソルを延々スライドさせているとクリックミスも起こりがち。
せっかく編集した画面を消してしまうことだって起きがちです。
短尺は勢いでごまかせる
編集テクニック以上に編集者の頭を悩ませるのが構成です。
短尺動画なら、短いカットやインパクトのある映像でしのぐこともできますが、長尺になればなるほど誤魔化せなくなるからです。
視聴する側から見ればわかりますが、長尺動画を見続けるには根気がいります。
興味を持続させてくれる仕掛けがない動画は見ていて飽きるのです。
そのため制作者は仕掛けを考えざるを得なくなります。
仕掛けとは構成、つまり物語です。人間の関心が持続するのは三分間が目安です。
次の三分間につなぐためには、伝えたいことを筋の通った理屈で並べて関心を導いていく、それなりの仕掛けを考えなくてはならないのです。
団子をイメージする
例えばテレビアニメーション、一般的な放送番組もそうですが、正味時間は24分程度です。
その構成を見ているとわかるのが、話を数分の短い塊にして、それを数珠つなぎにして最終的な尺にしていることです。
番組によって数分の塊は様々な形をしています。
ニュースやバラエティ番組のようにコーナーを設定する場合や、ドキュメンタリーにように場所、人物、出来事、展開などシーンを作る場合もあります。
制作現場では小さな団子を串に刺すと例えます。
話をいくつかの塊にしてそれをテーマという大きな串に刺すようなイメージにすることが大切です。
映像素材のもつ意味を考える
編集は手元にある映像を使って進めます。
当たり前のように聞こえるかもしれませんが、私が言いたいのは、使える素材は手元にある映像だけということです。
松竹梅の素材を使って動画を作ると最初に松を使えば最終的な作品は松竹梅か松梅竹の二種類の展開しかありません。
長尺の動画の場合、編集で使えるように素材はたくさん用意します。
話の展開によっては素材が足りなくなることも起こりうるのです。
そのため制作者は映像素材にシーン上の意味づけを考えながら編集して行きます。
カードに置き換えるとわかりやすい
意味づけとは映像につけるスーパーのようなものです。
例えば地域のイベント「どんど焼き」をテーマにしたこの動画で使った多摩川のイメージ。
ここでは「台風で氾濫した濁流が草木を押し流した」とコメントしています。
しかし、この映像自体をコメントなしで見たらなんの変哲もない川の風景にすぎません。
その前のカット、櫓を立てる人たちのカットでは街の歴史を語っていますが、映像だけ見ると単なる工事風景です。
映像にどのような意味をつけるのか。編集者が必死に考えるのは映像作品の展開です。
筋書きがあって初めてそこに当てはめる絵が見えてくるのです。
ここでよくやる方法が、カードに使いそうな映像や筋書きを書いて壁に貼り付けていく方法です。
この方法は以前ペタペタという記事に書きましたが、編集ソフトでやるべき作業をアナログなカードに置き換えて並べ替えるのです。
カードに置き換えた素材映像は限りがあります。
その素材をどのようにイミーづけし、どのように並び替えるか考えていくと、インパクトのあるシーンはより強く、重要な意味を持つ詩篇はより深く繋いでいくことができるようになります。
まとめ
映像作品は長尺になると途端に難しくなると書きました。
でも2時間を超えるような動画作りが不可能かというとそうではありません。
団子のようにシーンをまとめそのシーンを繋げてストーリーという大きな串団子にする。
そうして作られた大きな串団子をいくつかつなぎ合わせるとさらに大きなセットができるというイメージを重い浮かべください。
いくつかのシーンから成り立っているのが動画作品であることが見えてくると動画作りのしのぎかたも見えてくると思います。
こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 編集のコツ を書きます。