【初心者向け】動画ビジネスで必須! OMF 書き出しとMAエンジニアの役割

フルタニ

こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 動画ビジネスで必須! OMF 書き出しとMAエンジニアの役割を書きます。

YouTubeの動画編集は慣れてきたし、カットやテロップ、BGM調整もそれなりにできる。そんなあなたに突然、「テレビ番組用の映像を仕上げてほしい」「CM案件を担当してみない?」なんて話が舞い込んできたら……どうしますか?

正直、めちゃくちゃワクワクする反面、ちょっと怖いですよね。だってYouTubeと違って、テレビや映画の世界には 独自のルールやしきたり があるんです。中でも「音の仕上げ」をMA室に渡すための準備、つまり OMFの書き出し は、初めてだと絶対に戸惑うポイント。

「OMFって何?」「Premiereで音量調整すれば済むんじゃないの?」と感じるかもしれません。でもここを知らないと、MAエンジニアさんにデータを渡した瞬間、「これじゃ作業できないんだけど…」なんて冷や汗をかくことになりかねません。

この記事では、YouTube編集しか経験がない人でも安心して商用案件に挑めるように、OMFの基本から具体的な書き出し手順、さらに「MAエンジニアって何をしてくれるの?」という疑問まで、わかりやすく解説していきます。

意外と知らない!動画ビジネスで必要な「 OMF 書き出し」とMAの知識

MA室って何?MAエンジニアって誰?

まずここを押さえましょう。

MA(エムエー)とは「Multi Audio」の略で、映像の最終仕上げとして音を整える作業のことです。

その作業を担当するのが MAエンジニア。彼らの役割は、簡単にいうと「音の監督」です。

「Premiereで音量調整できるし、別にいらなくない?」って思いますよね。僕も最初はそう思ってました。でも違うんです。MAエンジニアがいるのといないのとでは、仕上がりが天地の差。

具体的に何をしてくれるのか?

  • 音量バランスを整える:ナレーションが埋もれず、BGMも自然に聞こえるように調整。
  • ノイズ除去:現場音に入ってしまった空調音やマイクノイズを削る。
  • 効果音・BGMの演出:シーンごとに音を配置して、観客の感情を動かす。
  • 規格準拠:テレビ放送や映画館のラウドネス規格に合わせて調整。

もしMAエンジニアがいなかったら…

  • 音がシーンごとにバラバラ
  • ナレーションがBGMにかき消される
  • ノイズが残って「素人感」丸出し
  • 規格違反で納品NG

つまり「映像は良いのに音で台無し」になっちゃうんです。

だからこそ、映像編集者がOMFを使って正しくデータを渡すことが重要なんですね。

OMFとは?初心者向けにざっくり解説

OMF(Open Media Framework)は、音声の編集データを他のソフトに渡すためのフォーマット。

PremiereやFinal Cutで仮編集したタイムラインを、Pro Toolsなどの音声編集ソフトで再現するために使います。

  • トラックの構造
  • クリップの位置情報
  • 各クリップの音声データ

こうした情報がOMFに含まれているので、MAエンジニアが「編集者がどんな意図で音を置いたか」をそのまま再現できるわけです。

ただし注意点として、OMFには 2GBのファイルサイズ制限 があります。長尺やトラックが多い案件では、分割して書き出す必要があります。

OMF書き出しの前にやるべき準備

① トラック整理

  • トラック1 → 現場音
  • トラック2 → ナレーション
  • トラック3 → BGM
  • トラック4 → 効果音

こうやって種類ごとに整理しておくと、MA室での作業がめちゃくちゃスムーズになります。

② ミュートしてるクリップを削除

Premiere上では聞こえなくても、OMFには含まれちゃうんです。不要な音声は削除してから書き出しましょう。

③ クリップ名をわかりやすく

「SE_ドア」「BGM_アップテンポ」など、名前があると現場での混乱が防げます。

Premiere ProでのOMF書き出し手順

では実際に書き出してみましょう。

  1. ファイル → 書き出し → OMF
  2. 設定項目を確認

設定のポイントはこんな感じです。

  • OMFタイトル:日本語NG。半角英数字8文字以内(例:「CM2024A」)
  • サンプルレート:48000
  • サンプルビット数:素材に合わせる(最近は24bitが多い)
  • オーディオを含める:必ずチェック
  • レンダリング:トリミング+予備90フレーム
  • パンを含める:任意

この設定で書き出したOMFをMA室に渡すと、そのままPro Toolsで開けて作業が始められます。

実際のシーン例:企業VPでのOMF活用

想像してみてください。

企業紹介映像をPremiereで仮編集しました。

  • ナレーションは仮録り
  • BGMはフリー素材を仮に入れた
  • 効果音は最低限

この状態のまま納品はできませんよね。ここでOMFを書き出してMA室に渡します。

すると、MAエンジニアさんが…

  • ナレーションのノイズを除去
  • BGMをシーンごとに自然にフェード
  • 効果音を立体的に配置

結果、映像が一気に「プロの仕上がり」に変わります。

同じ映像でも、音が整うだけでこんなに違うんだと驚きますよ。

OMFあるあるトラブルと対策

  • 2GB制限で書き出せない → シーケンスを分割
  • 日本語タイトルでエラー → 英数字に変更
  • 不要な音声が入る → 削除してから書き出し
  • トラックがぐちゃぐちゃ → 種類ごとに整理

僕も最初は失敗ばかりでした。でも、経験を重ねて「綺麗なOMFを渡せる編集者」になると、MAエンジニアさんから信頼されるようになります。

まとめ:OMFは「音のプロ」とつながるための鍵

動画ビジネスにおけるOMFは、単なるファイル形式ではありません。

それは MAエンジニアにバトンを渡すためのフォーマット

そしてMAエンジニアは、映像の完成度を一段階も二段階も引き上げてくれる存在です。

YouTubeだけなら知らなくてもいいかもしれません。でも商用映像の世界では、知っているかどうかでプロとしての信頼度が変わります。

「OMFを書き出してMAに渡す」――この流れを理解しているだけで、あなたの編集者としての格は一気に上がりますよ。