かつて映像制作は放送局やプロダクションなどのプロやマニアがつくるものでした。
しかし、手ごろな撮影機材や無料編集ソフトの登場で垣根が下がりました。
プロが努力して身につけた技術や知恵もネットを探せば見つかります。
映像制作を始めたばかりの人でも映画づくりまで手が出せるようになりました。
映像制作の基本を学ぶのはそう難しくはありません。
速攻で学ぶためには総合的にまとめられた本に目を通しておくことをお勧めします。
一人でもできる映画の撮り方
撮って、つないで、見せる! 撮影テクニックからパソコン編集、アニメ製作、公開方法まで、単独走破の映画製作、その全行程を徹底解説した完全マニュアル。
本書が書かれたのは今から16年前のことなので、ビデオ編集からデジタル編集に切り替わる頃。ツールの情報は若干古びた感じは否めませんが、映像の理論は時代が変わったからといって古びるモノではありません。
モンタージュ理論や撮影理論など、具体的なセオリーが簡潔にまとめられているので基本を学ぶには最適な本です。
特筆すべきなのは、映像編集の手法などが、その手法を使って作られた映画作品を例に取りながら説明されている点です。
活字だけでは飲み込めないような事例も、映像作品を見ることによって理解することが出来ます。
映像制作の基本形
「一人でもできる映画の撮り方」は、映画制作を学ぶ人向けに記事がまとめられています。
放送番組には直接必要のない情報や、抜け落ちている情報もあるので補足します。
放送局の仕事は入社した新人ディレクターが必ず担当する番組があります。
それは情報番組です。新人が情報番組を担当するのには訳があります。
それは情報番組が全ての番組の基本形だからです。
情報番組は、世の中で起きている出来事をわかりやすく伝える番組です。
短い時間の中に過不足なく情報を盛り込むために必用な条件は三つあります。
- 新しさ
- メッセージ
- プラットフォーム
新しさとは、伝える情報の鮮度です。
今まさに起きたばかりのニュースや、世の中の流れの変化という動き、日々の暮らしの中から生まれる気づき、見たことがない絶景や人間の多様な生き方などの抽象的なものまで含まれます。
メッセージとは、情報の塊である映像を制作者がどのような意図を持って伝えるかという「意味付け」であり「決意表明」です。
そのまま列挙しただけでは無味乾燥な情報は、見方や切り口を変えることにより新たな付加価値が生まれます。
見方や切り口は伝える側の思いが作るオリジナルなものであり、ゆえに価値を持つからです。
プラットフォームとは放送を支える基盤です。
ビデオカメラの普及や動画共有サイトの出現で、映像制作にかかる限界コストは大きく下がりました。
放送局でも工程の省力化は進んでいますが撮影、編集の基本的な工程は変わりません。
ただ一つ違うのは「ひと、もの、かね」と大きくくくられるリソースの規模だけです。
番組の規模が大きくなればなるほど機材、スタッフなどのリソースや、人数、作業の進め方が複雑になりその質も高くなります。
使えるリソースの多寡に関わらず、変わらないのがスタッフワークです。
専門性を持つスタッフとコミュニケーションを取り合いながら作品にまとめ上げる力の重要性は、番組の大きさとは関係ありません。
情報番組作りは大型番組の基礎体力づくりという側面も持っていると言えるのです。
視聴者の求めに応える
「絵や映像などの手法を使うとアイデアの情報量が下がらないため画一化されにくく、多様性を維持したままで可視化できる」
落合陽一さんは「日本進化論」の中で述べています。
メッセージの伝達手段として映像に勝るものはありません。
視聴者にとって「新しい」ことを「意味を付けて」伝えてくれる情報番組は、役に立つ存在です。
視聴者に良質な情報を伝えるため、放送局は限られた放送時間の中で最適解を模索し続けています。
こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 映像制作の基本 を書きます。