iPhoneでシネマが撮れる Blackmagic Camera の衝撃と使い方

フルタニ

こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 Blackmagic Camera を書きます。

iPhoneで手軽に高品質な撮影ができるカメラアプリが無料で手に入ること知ってますか。

9月15日に公開された「Blackmagic Camera」です。

何が凄いかと言うと、iPhoneで劇映画の撮影クオリティの映像が撮れるのです。

プロが使うデジカメのサブカメラとしても十分使えるフィルミックソフトいう評価もされています。

私のような日常のドキュメンタリー動画制作が中心の者には「フィルミックソフトなんて馬の耳に念仏、猫に小判」だと思い込んでました。

でもそれは大きな誤解であることが使ってみてわかりました。

この記事ではBlackmagic Cameraの使い方を解説します。

Blackmagic Camera の衝撃と使い方

シネマライクな劇場映画品質の撮影を実現する無料アプリ

「Blackmagic Camera」はフィルミックソフトと呼ばれる動画撮影専用のアプリです。

  • 10bit Apple ProRes 4Kまで撮影できる
  • 細かな設定ができる
  • 無料アプリ

細かな設定とは、クリエイターが使うようなLOG撮影やビットレートの変更やホワイトバランスやISOなどの設定のこと。

BMPCC4Kなどを使い慣れた人なら機能はほとんど同じなのですぐに習熟できるはずです。

初心者が無理して使う必要のない機能もありますが使えるようになると表現の幅が広がります。

これがAppleのApp Storeから無料でダウンロードできます。

プロ向けのアプリではありますが、動画界隈では話題騒然。

DaVinci Resolve18をメインの編集ソフトとして使い続けている者としては、使わない理由はありません。

いやいや肌触りが違いすぎます。

日常の何気ないシーンもIphoneで撮影することで価値が出てくるではありませんか。

高価なVlogカメラを買わなくても、手持ちのiPhoneでそれなり以上の映像が撮れる。それだけでも大満足です。

Blackmagic Cameraのメリット

公式ページからメリットを拾い集めると

  • フレームレート、シャッターアングル、ホワイトバランス、ISOなどの設定をタップ一回で調整可能
  • 業界標準の10-bit Apple ProResファイルで4Kまでに対応
  • 撮影データはネットから直接Blackmagic Cloudに収録できる

日本で撮影したデータを、地球の裏側にいる複数の編集者が共有できるため、DaVinci Resolveを使うことで編集があっという間に進みます。

  • レンズの選択、フレームレート、シャッターアングル、タイムコード、ISO、ホワイトバランス、ティント、ヒストグラム、オーディオレベルなどが画面でコントロール可能
  • ビデオの解像度および収録フォーマットをコントロール可能
  • 業界標準のApple ProResやコンパクトなH.264およびH.265などから選択可能
  • アナモルフィック・デスクイーズとレンズ補正設定も搭載
  • 音声はプロ仕様で各種オーディオメーター、AAC、IEEE Float、PCMフォーマットが含まれている
  • 外付けマイクの追加も可能

ではデメリットはというと初心者からみると機能が多くて使いにくいことかもしれません。

このことは記事の後半に書きます。

Blackmagic Camera の設定方法

まずは公式サイトからダウンロードします。

App Storeからダウンロード

ダウンロードする際の注意点は、Blackmagic Cameraは今のところiPhoneでしか使えません。PC用アプリはありません

なのでiPhoneユーザー以外の人はしばらく待ってください。Blackmagicのことですから多分すぐに対応される思います。

発表のタイミングから類推すると、高度な撮影機能を持つiPhone15との組み合わせが最強と思われます。

私はiPhone12にインストールしてみました。

インストール方法は簡単です。

まずはiPhoneで公式ページからダウンロードします。

インストールボタンをタップします。

iPhon内のアクセス許可の画面が出ます。

問題なければすべてにチェックを入れます。

[continue]をクリックすればインストール終了です。

設定画面に切り替わればインストール完了。そのまま利用ができます。

Blackmagic Camera の注意点

インストールが終了して操作画面を見たところで気づく方もいるかと思いますが、Blackmagic CameraはiPhone付属のカメラアプリのような手軽さはありません。

車で言えばオートマチック車ではなく、マニュアル車を運転するような知識と技術が要求されます。

まず、縦サイズで撮影する方法がわかりづらいです。正しく設定しないと縦サイズで撮ったはずの絵が横長動画になります。

また、ほかのアプリでは当たり前のテロップ機能やカット編集もできないです。

さらに、撮影したデータがどこに格納されているかよくわかりません

このように、他のアプリのような操作性ではないので初めての人は注意してください。

縦サイズ撮影の切り替え方がわかりにくい

HD(1280×720)、フルHD(1920×1080)か4K(3840 × 2160)です。

初期設定は横サイズになっています。

そのためiPhoneが縦向きであろうと横向きであろうとお構いなしに16対9の動画が撮影されます。

ちなみに、iPhoneを横にして撮影すると、操作画面のレイアウトが変わります。

TikTokやYouTubeショートのような縦動画を撮影したい場合はどうするの

撮影画面の右下にある歯車アイコンから設定(Setting)タブに切り替えて、[Camera][Enable Vertical Videos]のボタンをその都度スライドさせてONにし、画面下の[Camera]アイコンをタップします。

設定は英語表記。翻訳機能がないので迷います。

画面モニターが縦に切り替わり、縦動画の撮影ができるようになります。

縦のまま撮影を始めて、途中でカメラを横に傾けると画面は縦のまま収録されます。

ちなみに、この設定のままiPhoneを横にして撮影した場合は縦動画ではなく横長の動画が撮影されるので注意が必要です。

データはpictureとは別のフォルダに保存される

ふつう、iPhoneで撮影した動画はpictureフォルダで確認できますが、Blackmagic Cameraで撮影した動画はpictureフォルダで見ることはできません

とりあえず、真ん中の赤ボタンを押して撮影してみましょう。

このデータはiPhone内に保存されます。

データはクリップごとに連番が付与され、モニター画面で試写できます。

Blackmagic Cameraの撮影データはBlackmagic Cameraのシステム内に保存されます。

撮影済みのデータをほかの媒体にコピーや転送する場合は、転送画面から保存先を指定して転送するしかありません。

転送画面からは、iPhoneに外付けしたドライブや、iCloudやdoropBox、BlackMagic cloudなどクラウドに保存できます。

またTwitterやInstagramなどに保存・投稿ができるので、慣れてしまえば便利かもしれません。

テロップ入れやカット編集ができない

メーカーの側では製品名に「Camera」としっかり謳っていますが、iPhoneユーザーの中には「編集ソフト」と勘違いする人がいるかもしれません。

撮影データの色味の調整はできますが、テロップ入れやカット編集はできませんし、撮影した横サイズの動画を縦サイズに編集することもできません。

TikTokやYouTubeショート動画、それにTwitterなどの正方形動画を投稿するには、一旦別の編集ソフトを経由する必要があります。

SNS投稿機能が微妙

撮影した映像はアプリからSNS投稿機能もできるとあります。しかし微妙です。

X(Twitter)については、撮影済みのファイルを指定した後、あらかじめ選択したアカウント取得済みのSNSアイコンを選択すると投稿画面に切り替わり編集ができます。

しかし、Threadsは反応しないです。

Blackmagic Cloudにアップロードする機能も説明不足です。

設定の問題かもしれませんが今後の改善が期待されます。

動画データの容量に注意

撮影に使うコーデックは、デフォルトでH.264が適用されています。なのでRAWファイルのようバカでかい容量にはなりません。

しかし、調子に乗って4Kなどで撮影しているとスマホのメモリーを圧迫します。

メモリー残量がわかるように、撮影画面の下には残量計が表示されているので注意しましょう。

初心者が便利さを感じたポイントとは

Blackmagic Cameraはクリエイター向けアプリです。

BlackmagicのシネマカメラであるBMPCC4Kや8Kで使われている機能が使えるので、カメラの操作に慣ている人なら、iPhoneでクリエイターのような細かな撮影まで可能です。

とはいえ、初心者にはタイムコード撮影のように使う機会のない機能もあります。

なので、よくわからないところはスルーして、よく使う機能から利用しましょう。

私が注目した機能は次の3点です。

  • レンズ選択機能
  • スタビライズ機能
  • オーディオメーター

標準、広角、望遠など操作画面で切り替えができ、撮影中に手動でズームインができます。

手ブレ防止のスタビライズ機能も三段階に切り替え可能です。

マイクを接続して撮影する際、目で見て音声のレベル調整ができるます。

レンズの切り替え

レンズは13mmの超広角、24mm、77mmの望遠レンズを切り替えて使えます。[LENS26mm]をクリックするとレンズの選択枠が開きます。

右が自分の顔を撮るFrontカメラ、その横が広角と望遠レンズです。

レンズの切り替えができるほか、[+]をタップして倍率が選べます。その下のインジケーターを指先でなぞることで撮影中にマニュアルズームもできます。

スタビライズ

iPhone本体には強力なスタビライザー・ブレ防止機能が内蔵されています。

Blackmagic Cameraにはさらに強力な機能が使えます。

スタビライズは標準的な[Standard]に加え、強力な[Extreme]、ほどほどの[Cinematic]の三段階を選択できます。

そのためジンバルなしでもブレのない動画が撮影できます。

オーディオメーター

動画撮影で忘れてはならないのが音声の収録です。

録画ボタンの右横にあるのは収録された音声の強弱がわかるピークオーディオレベルメーターです。

メーターが0デシベル以上に振れると音割れが起きます。

危険ゾーン強い音は赤い表示で表示されるので、ピークオーディオレベルで音の状態が視認しやすく、音声収録ミスが防ぎやすくなります。

初心者はぶっちゃけオート表示で十分

「ISO」「WB」「TINT」の表示は初心者から見ればマニア好みの調整機能です。

「ISO」は感度のこと。日常のスナップ写真のような動画は基本設定である「33」で十分です。

「WB」「TINT」は室内や屋外といった色の違いを補正する機能。編集ソフトで色補正もできるので、迷ったらデフォルト設定のままのオート設定でOKです。

使いこなせると領域が広がる機能

中級者以上を目指すなら使いこなせるようになりたい機能があります。

  • フレームガイド・・・9:16や1:1などのSNS用動画を撮影する際に便利
  • フォーカスアシスト・・・精密なフォーカスが必要な場合に役立ちます
  • タッチフォーカス・・・オートフォーカスしたい部分をタップすることで精密なフォーカスあわせを補助します
  • フォーカスアシスト・・・どの部分にフォーカスが合っているかほ輪郭線を使うことで確認します

商用で使うような精密な撮影でなければ習熟しなくてもそこそこ使えます。

Blackmagic Cloudとは

複数の作業者が、世界中のどこからでも、同じプロジェクトの同じタイムラインで作業できるようになる有料サービスです。

月間5ドル(764円/月)がかかりますが、サブスクではなくストレージも含め従量課金なため使っただけの料金ですむのは助かります。

Blackmagic Cloudと Blackmagic Camera を使ってマルチ環境の編集作業を格安価格で作る方法を別記事にまとめました。

Blackmagic Cloud

まとめ

iPhoneでハリウッドの劇場映画と同じシネマライクな撮影ができる無料アプリが9月15日に公開されました。

Blackmagic CameraはiPhoneにインストールするだけで動画撮影の設定を飛躍的に拡大するアプリです。

ビデオの解像度および収録フォーマットだけでなく、レンズやシャッター、フレームレートなどを自由自在に変更可能。

デジカメに匹敵するクオリティで撮影したデータを同時に複数の編集者が編集することも可能です。

習熟には相当の勉強が必要ですが、プロ口クリエイターを目指すには無料で使えるので手に入れて損のないアプリです。

Blackmagic Cameraに関するよくある質問

シネマカメラ機能を持つライバルアプリ FiLMic Pro はどうなの

こうした機能を持つ動画撮影アプリはFiLMic Proという先行アプリの独壇場でした。

iPhoneでシネマスコープ動画が撮れる

しかし、FiLMic Proの価格は1840円+サブスク代金。LOG撮影も必要な場合は1,720円の「シネマトグラファーキット」を追加で購入する必要があります。

【FiLMiC Pro】サブスク解禁されたけど今まで通り無料で使う方法v7 | keriブログ

つまりこれまで有料だったツールが無料になったというわけです。

FiLMic Proを使い続ける理由はなくなりました。

Blackmagicという会社の信頼性は

でもBlackmagicって知らないし、ヤバいメーカーなのではないの

Blackmagic CameraをリリースしたBlackmagic Designはオーストラリアの映像機器関連メーカーで、放送機器のほか、編集ソフトDaVinci Resolveや、シネマカメラBMPCCでも知られています。

これをヤバいと言ってしまったら、SonyもAdobeも信用できませんよね。