
YouTubeの動画を見ていると、簡単に作られているように見えて実はたいへんな手間をかけて作られた動画を見るようになりました。
一見簡単に見える動画ほど、視聴者が躓いたりしないよう、わかりにくい部分があればきっちり処理して作っています。
いきなり動画制作にチャレンジする人は、手間暇かける部分を省いて撮り始めるので失敗します。
プロと初心者の違いは、準備の違いと言っていいと思います。
動画の制作工程を解説した記事はあまり見かけないので、勝手に解析してみました。
目次
板書を駆使した1人語りの解説動画
私が注目したのがこの動画。
テーブルに座った出演者が、説明用のフリップが表示された画面をスイッチしながら1人トークする動画。複雑な編集は一切なし。ほぼノーカットで25分語りきるというシンプルな構成です。
映像加工も、後処理で文字テロップと数枚の画像を重ねています。
チャンネル登録者数7万人の 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の動画はどのように作られているのでしょうか。
構成に時間をかけ、展開を組み立てる
出演者の卓越したトーク力にもよりますが、25分という時間を構成することはぶっつけ本番でできるものではありません。
テーマの選定、話の展開、情報の選択と裏取り。こうした全体構成をまとめるためには時間がかかります。
テーマの設定については助走期間。つまり温める期間が必要です。この動画の発意は、専門職としての実務の中で培われたものでつょう。それがたまたまテレビ番組の放送がきっかけで動画にまとまったものです。
経験的に25分の構成をまとめるには一日近くかかります。
動画のテンポを上げ中身を濃いものにするためには、一定量の情報が必要です。集まった情報を吟味して、話の流れにそぐわないもの、重複しているものなど削る作業が必要です。
動画撮影に入る前に何回も話の流れを整理する作業を、構成段階でやっておかないとスムーズな話の流れになりません。
構成がまとまったら、台本を書きます。出演者はぶっつけ本番でトークしているように見えますが、台本は用意しています。
なぜなら、トークで使用するフリップの内容と内容が一致しているからです。
フリップ制作に時間をかけている
解説系の動画でよく使われるフリップは、PowerPointのようなソフトを使うことで見栄え良くつくることができます。
この動画の場合、あらかじめ作り置きした PowerPoint のようなシートを出演者自らが操作して語っています。
目線の先には収録用のカメラがありますが、その横にはもう一台のディスプレイがあって、同じ内容が見えているものと思われます。
出演者は脇にあるディスプレイをいちいち確かめるわけにはいかないからです。
フリップ原稿についても、トーク用の原稿作りが固まってきたころあいで制作に入ります。
このとき大切なのは、トークの内容を邪魔しない内容に原稿を整理することです。視聴者は文字が多すぎたり、読みにくかったりすることをイヤがります。
また、表記された内容に間違いがあってはいけません。誤字脱字のチェックや数字の裏取りなど、出版で言う校正作業には時間がかかります。
別の動画を見ていると、出演者はかたわらに話しかけるそぶりがあったので、収録には制作補助要員がついているようです。
正確を期するための検証作業は、複数の人の目を通すことで精度が格段に上がることから、ディレクター役の人もいるように思います。
フリップの制作は作業分担した方が早いので、文字の生成と効果を作画するスタッフが半日かけて行ったと思われます。パワーポイントで見やすい作画をするのは技術が必要な上、作画にも結構時間がかかります。
技術面もパワーをかけている
技術面では照明と音声についても一定以上の水準をめざすなら、専門家の助けが必要です。
ディスプレイの画面に映り込みがないことや、背景の明るさと出演者の顔の明るさを比較すると技術要員の存在も見えてきます。
収録はリハーサルに力を入れている
本番は一発録りですが、その前にリハーサルを行わないとタイミングが計れません。タイミングをはかるための予行演習とあわせ、数回リハーサルを行い、そこで発見した修正点を処理して本番という流れになります。
したがって、リハーサル1時間、修正1時間、収録30分という時間配分になると思います。
編集は実尺に比例して時間がかかる
編集では音声の冗長感をカットし、文字や静止画を付ける作業になります。正味時間30分を数回繰り返して編集することから4~5時間見ておいた方がいいかもしれません。
まとめ
ということで、ストレートトークに近い解説動画でもそれなりの制作時間とコストがかかることが見て取れると思います。
動画制作は、他人の作品を見てまねるのが早道です。しかし、思いつきでスタートしても上手くいきませんので、入念な準備を心がけてください。