After Effectsの3Dカメラは被写界深度を設定することができます。
被写界深度の使い方を覚えると、目立たせたいものをより際立たせることができるようになります。
3D空間の表現力を上げる 被写界深度 の設定方法
被写界深度と書くと難しそうに感じますが、要はボケ具合です。
被写界深度が浅い写真とは、ピントが合ったところ以外が大きくボケた写真。
被写界深度が深い写真とは、手前から奥までクッキリ見えるボケが少ない写真です。
被写界深度を浅くして背景のボケを大きくすると柔らかな優しい雰囲気に仕上がります。逆に、背景までピントをしっかり合わせるとマジメな印象の映像に仕上がります。
被写界深度を調整する最大のメリットは【撮影画像の主役は誰なのかが一瞬で伝わること】です。目標の前後を立体的、深みのある映像を作ることができます。
After Effectsで被写界深度を設定するには3D機能を使います。
※3D機能の設定方法は「3Dカメラの扱い方」という別記事に書きました。
3D機能の作り方をざっくりまとめると。
素材となるレイヤーの上に[新規][カメラ]から3Dカメラを追加します。
レイヤーパネルのアイコンにある[3D]を全てオンにします。
カメラの位置を調整することで素材とになるレイヤーを立体的にアニメーションすることができます。
下準備としてビューのレイアウトを二画面にします。
オススメは、二画面のうち左を「カスタムビュー1」に、右を最終出力の映像と同一視点である「アクティブカメラ」にすることです。
こうすると、左画面でカメラの位置を動かし、カメラの見た目を右で確認することができます。
次に、素材となるレイヤーを奥行きに沿って前後に並べます。
こうすることで前後のレイヤーのボケ具合をが変わり、立体的な表現ができます。
被写界深度 の設定方法
After Effectsの3Dカメラはシーンによってレンズを変えることができます。
リアルなカメラでは、被写界深度の値はレンズによって異なります。
望遠レンズの方がボケ具合の差は大きくなります。
このことを頭に入れてレンズを選びます。
次に、カメラ設定ダイヤログの「被写界深度を使用」オプションもしくはカメラレイヤーの「カメラオプション」にある「被写界深度」をオンにします。
すると、一眼レフカメラで撮ったように被写体の前後、背景や手前にあるものがボケます。
「フォーカス距離」を任意のレイヤーに合わせ、「絞り値」を上げてみましょう。
すると、任意のレイヤーのピントが合ったままで他のレイヤーがぼけて遠近感のある表現になるはずです。
また、フォーカス距離を変えることで自分が見せたいものにフォーカスをあわせることができます。
フォーカスをあて続けたい場合は、エクスプレッションと呼ばれるAfter Effectsのプログラムで操作できます。
カメラの【フォーカス距離】に以下のエクスプレッションを記入し、
target = thisComp.layer(“target”);
V1 = target.toWorld(target.anchorPoint) – toWorld([0,0,0]);
V2 = toWorldVec([0,0,1]);
dot(V1,V2);
一行目のtargetにフォーカスを当て続けたいレイヤーをコピペするだけです。
まとめ
ニュースや情報系の動画を作っていた私は、大げさにいうと画面全体にピントが合っている映像以外みたことありませんでした。
事実や情報を優先するいわゆる報道系動画では見た目に注意を払う余裕があったら一刻も早くアウトプットしろ。と習慣づけられたからかもしれません。
しかし、予算や時間、技術に余裕があるなら被写界深度の知識は身につけておいたほうが稼げるはずです。
動画クリエイターを目指すなら、本気になってボケ具合を学びましょう。