テレビに紹介される 裏ワザ | 中の人が語る成功する取材依頼術

フルタニ

こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 テレビに紹介される を書きます。

「自社の取り組みをテレビに取り上げてもらいたいけど、方法がわからない」とお悩みの事業者の方いませんか?

一説によると、テレビでわずか十数秒紹介されるだけで、2,000万円の広告効果があるともいわれます。

テレビ局に取材させたいならコツがあります。

プレスリリースはテレビ局のディレクターに刺さらない

ネットで検索すると、報告書のように情報がぎっちり詰め込まれたプレスリリースが効果的と書かれています。

テレビ局に取材依頼する方法は、FAXでプレスリリースを送付する方法が一般的です。テレビ局では、毎日届くプレスリリースを担当別に振り分け、各担当者がその中から取材するネタを探します。

プレスリリースは、「わが社に、こういうニュースがあります」と伝えるお知らせ。ざっくりいうと広告です。

活字系のメディアにはこれで通用するかもしれませんが、映像系のメディアにはたぶん効果はありません。

なぜかというと、私のような制作現場のDの目に入らないからです。

ニュースに届いたリリースは基本読まれない

私は10年近くNHKの夕方の情報番組枠でディレクターの仕事をしていました。

NHK夕方の情報系番組(当時は「イブニングネットワーク」というタイトルでした)で企画や中継のネタ探しに走り回るという勤務時間的には過労死レベルの現場です。

でも、リリースは見たことありませんでした。(あとでニュース系のデスクになってはじめてリリースがあることを知りました)

なぜか

それには理由があります。

プレスリリースが届くのは放送局の報道デスクの横です

報道デスクとはニュース制作に携わる大部屋の全体が見渡せる位置にあります。東京も地方もみな同じです。

報道デスクの横にはFAXがあり、そこにプレスリリースが送り付けられてきます。

本来なら、届けられたプレスリリースを一枚一枚吟味して取材計画を指示したり、ネタの材料にすべきものなのかもしれませんが、デスクや記者などの関係者は熱心に見ようとしません。

それは、プレスリリースの正体が基本「商品の広告」だからです。

ニュースの現場は事件事故などリアルタイムで発生する事象に追われているため、報道ではニュースバリューのあるものが優先されます。

ニュースで取り上げられる話題は

  • 賞味期限が限られている話題
  • 世の中の人が強い関心を持つ話題
  • ニュースで紹介されるのは長くて1分半

以上です。

逆を言うと、視聴者にとって不要不急に近い商品広告のバリューは限りなく低くなります。

なので、よほど話題があるか新鮮なものであるかでない限り、プレスリリースはニュースとして取り上げられることなく、誰にも読まれず埋もれてしまう確率が高いのです。

ではどうしたらテレビに売り込むことができるのでしょうか。

答えは単純です。テレビをつくる当事者。つまりディレクターの興味を引くことです。

この手口は、テレビ局に勤めた経験がある人なら誰でも知っています。

知りたい人はテレビ東京「ワールドビジネスサテライト」「ガイアの夜明け」でディレクターをした人の本を読めば詳しくわかります。

ニュースではなく企画として売り込む

速報性や正確性が要求されるニュースとは別に、社会情報や生活情報の受け皿になるのが情報番組です。

情報番組とは、視聴者の生活に直結した話題を取り上げわかりやすく伝える番組のことをいいます。

たかしくん
たかしくん

企画などの参考にはなりませんか

番組を作るのは報道とは別の組織に所属するディレクターです。

番組には企画ごとに担当ディレクターがついて取材から制作まで行います。

私が所属した月金の番組には二十人近くのディレクターがいて、月二本を目安に制作にあたりました。

ディレクターは担当番組の企画のネタ探しや取材交渉、見せ方といったルーチン作業に追われています。

ネタを見つけないと生きていけない世界の住人なのですが、プレスリリースは流通上の仕組みから、こうしたディレクターの手には届きません。

報道に届いたプレスリリースは報道以外のテレビ制作者には共有されません。

報道以外の各部署や番組宛てに届ける方法もありますが、報道はわざわざ企画にプレスリリースを共有することはしません。

なぜなら、手間がかかるから。さらに番組担当者は数日単位で制作に取り掛かるため、プレスリリースの内容と番組担当者のスケジュールがマッチングする確率が低いからです。

テレビ局の中はタコ壺のようになっています。

なので、自社の取り組みをテレビに取り上げてもらいたいなら、プレスリリースに加えて番組の趣旨に合わせた取材依頼書を書いて、ディレクターに直接届ることがポイントです。

番組企画として取り上げられる確率が高まります。

ディレクターはネタに追われています。いいネタがタイミング良く飛び込んできたら、仕事は半分終わったも同然で大変ありがたいのです。

テレビで話題を取り上げさせたいのであれば、ニュース向けではなく番組企画として取り上げさせるように狙いを絞ることが重要です。

さらに企画担当者の興味を惹きつけるには、情報やスペックの羅列ではなく、視聴者の興味が湧くような提案にすることがポイントです。

Something New どこか新しいを見つけよう
大谷翔平の活躍で特需となったのが兜作りの人形制作現場でした。ビッグモーターの不正で注目されたのが殺虫剤メーカーの防除サービスでした。風が吹いたら桶屋がもうかるという例えにあるように、世の中の大きな動きの影に隠れた話題は企画づくりの定番です。
季節を先取りしよう
土用の鰻屋、初詣の神社仏閣などの歳時記企画。震災や五輪などのイベントに紐づいた周年企画など、今を気づかせてくれる映像はテレビの定番です。この定番に人やモノの動きを関連づけることで商品やサービスに注目を集めることができます。
売り込みの穴場は「生中継」「ローカル局」
見落としがちなのが生中継です。たとえば早朝の仕事場や、今話題となっている現場探訪などはテレビ情報番組の大好物です。
ふだんは立ち入れない場所や、人の動きがある場所にカメラが入るのは手間がかかるので、コーディネートも含めて提案されると採択されやすいです。
裏技の一つが、地域の放送局へのネタ提供です。地域のディレクターは経験が浅い新人も多くいるため採択される確率が高いのと、全国で紹介できるバリューがある企画の中には全国放送として再利用される場合が少なくありません。
動きをアピールしよう
時間経過や空間の移動など動画には活字媒体にはない特性があります。ものが変化する過程。高低差や奥行きのある空間。物語のような展開など、文章にするとありふれた内容でも、動画でしか表現できない魅力があればそれが目玉商品です。

テレビ局に企画を売り込む方法

テレビ局に企画を売り込むには、テレビ局の構造がタコ壺であると想像して、売り込みたい企画と取り上げてほしい番組とを見極めることが重要です。

また、その企画の決定基準や制作フローの仕組みも整理する必要があります。

テレビには大きく分けて三つのカテゴリーがあります。

  • 報道番組:ニュースや事件などを中心に扱う番組
  • 情報番組:お昼、夕方のワイドショーなど、生活情報や社会情報を扱う番組
  • バラエティ:タレントさんによるトークや工場見学、ランキングなどをする番組

報道番組への売り込み方

報道番組は、ニュースバリューという尺度をもとに取り上げる内容を判断します。取材にあたるのは記者や報道カメラマン、報道専門の編集者です。特徴は速報とバリューにあるため、伝えられる内容も必要最小限にとどまります。

・情報番組
月曜日~金曜日の朝や午後、夕方や夜の時間帯で放送されます。一部ニュース枠がありますが、それ以外の時間で企画やリポート、生中継などの企画を制作するのが情報番組担当のディレクターたちです。

ニュースがニュースデスクを中心とした記者たちの連携プレーに近いものであるのに対し、
企画は注文住宅の大工のように、担当者が企画や取材、編集までを一貫して行います。制作期間は、尺の長さなどで変わります。長いもので1か月から2週間前程、タイムリーなものなら即日で放送に漕ぎ着ける事もあります。

・バラエティ番組
バラエティ番組は制作に時間がかかることから番組ごとに計画的に採択が行われます。演出や企画内容の検討に時間がかかることから、外部からの売り込みの難易度はかなり高いジャンルです。NHKや民放では制作会社に委託する場合がほとんどなので、ネタの売り込み先は制作会社の担当者に絞ることが重要です。

NHKに企画を売り込む方法

NHKの番組は大きく分けて制作と報道それに編成の三つに分かれます。

報道には記者、カメラマン、編集などの制作スタッフが縦系列で組織化され、正午、夕方、夜7時、夜9時などの節目に向けて作業を進めています。

放送局が自社スタッフを中心に制作する番組を担うのが制作です。

制作では基本、一本ごとの番組の企画などの実務を担うディレクター、ディレクター集団をサポートするデスク、管理責任者のプロデューサーから構成されます。

放送される番組全体を総括するのが編成です。報道や制作だけでは埋めきれない時間帯を外部プロダクションに制作委託したり購入番組などでコントロールします。

NHKに企画を売り込むには、番組ごとに異なる制作体制を見極め、企画担当者に届くような戦略を考えることが大切です。

NHKに取材依頼(プレスリリース送付、情報提供)する方法とその送付先記者が教える広報PRの方法

取材依頼書の書き方

活字メディアと違ってテレビは動きで見せるメディアです。企画を書く時注意したいぽいんとは三つあります。

  • Whats New(何が新しいか)がわかるように書く
  • 物語が見えるように書く
  • 撮影できるように書く

一般的なプレスリリースではテレビは動きで見せるメディアであることが抜け落ちているケースが少なくありません。

新商品を開発であれば、開発にあたっての動機や背景があるはずです。

開発にあたって苦労した人物や、さらに新商品を世に送り出すための挫折や発見があったかもしれません。

動きとは人の動き、物語です。

このことが伝わるように書くことで番組の企画者の興味を引き起こしましょう。

まとめ

企画を検討する際には、番組会議というものを行います。番組会議は番組によって最終決定のタイミングが違うので、情報を直接ヒアリングし入手する必要があります。

PRを担当する方はこの番組会議の前に情報を入れ込めるかが決め手になります。また、組織構造 は下記のようになっており、番組会議時にキーになる人物に情報を入れ込めていると、OA決定の可能性が上がります。

<気を付けるべき事>
・情報を入れる際はメール、FAX、電話などで連絡しましょう。
・持ち込みで企画を入れるときは、偏ったプレスリリース情報よりも企画にまとめた報道資料をもっていく方が喜ばれます。
・OA時間に連絡することはタブー、OA開始1時間前などもバタバタしているので、基本的には連絡を控えましょう。
・電話連絡などは基本ADの方が出るので、簡潔にリリース情報や行いたい企画をまとめてコミュニケーションをとる。
・面識をもって置くと今後のコミュニケーションがスムーズなので、メールやLINEなど連絡先を聞いておくとよいです。