
動画の取材をしているとたまに質問を受けることがあります。
ある幼稚園で保護者のみなさんが園児の通園路の途中に壁画を描くことになりました。壁画のデザインは有名な絵本を題材にしたものです。この話題を取材・撮影するにあたり、著作権の扱いはどうなるのか。・・・許諾をとる必要があるのは原作者?それとも保護者? 動画撮影は頭の体操です。
— furutani (@kenfru3) January 8, 2020
今回の質問はこんな内容でした。
ある幼稚園で保護者のみなさんが園児の通園路の途中に壁画を描くことになりました。壁画のデザインは有名な絵本を題材にしたものです。この話題を取材・撮影するにあたり、著作権の扱いはどうなるのか。
というものです。
絵本そのものの撮影にあたっては、絵本の作者が著作権をもっているので権利処理をする必要があります。
模写と権利
しかし、この場合は保護者が模写したものを取材することになります。
描いた人に権利が発生するのが著作権の考え方なので、保護者の了解が取れれば撮影できます。
どう考えたらいいのか、放送局の知り合いに相談しました。
返ってきたのは次のような答えでした。
絵本をもとにしたとはいえ、描かれた作品が独創的である場合は「二次的著作物」となり、絵を描いた保護者に著作権が発生する。
ただし、ポイントは独創性の解釈。ある程度似ている程度の模写の場合は「複製物」とみなされてしまいます。この場合描いた保護者には著作権は認められません。(模写は著作物といえませんので、一般公開する場合は現著作者に許諾が必要となります)
例えるなら、原作マンガをもとに描かれた同人誌のようなものです。
権利がどこにあるのか探りながら撮影しないと思わぬトラブルに巻き込まれるかもしれないので、こうしたケースに出会ったら”著作者”と思われる人に声かけをして了解を撮る必要があります。注意しましょう。
さて、ニュース取材の現場ではこうした案件にいちいち対応していてはニュースが出せないことになります。それはそれで市民生活に大きな影響を与えることになるので、特例が用意されています。
それは「時事の事件の報道利用」という考え方です。著作権法第41条によると、ニュースの取材に限定してですが、著作者に許諾を求めずに使用ができるというわけです。
まとめ
著作権は財産権。つまりお金が絡んでくるので対応の仕方いかんではトラブルの種になります。
あぶないと思ったら権利を持っていると思われる人に了解を得、あわせて専門家の助言を聞くのが安心です。