たまに「映像編集をするにはどういうツールが必要ですか?」という質問をされることがあります。
編集ソフトは有料、無料さまざまなものがあって何を選んだらいいか、私にもよくわかりません。
ただ一ついえるのは「シンプルイズベスト」。
簡単に見えるものほど奥が深いのです。
カット編集のススメ【動画づくり】
最近の編集ソフトには多彩なトランジション[1]カットとカットの間に挿入する切り替え効果のことを売りにする商品が出回っています。
トランジションをうまく使いこなすと編集の腕が上がったような気になります。
クリエイター系の動画では多様な演出を迫られるので、こうした機能は必要です。
情報系のしょぼい動画コンテンツづくりには、ぶっちゃけ、なくてもなんら問題ありません。
今日は編集の基礎・カット編集について見ていきます。
カット編集はシンプルかつ最強です
映像制作を続ける上で知っておくべき編集テクニックは「カット編集」です。
カット編集とは文字通り映像をカットで繋ぐことです。
編集のプロは特殊な機能はあまり使いません。繋ぐ作業もほぼ百%がカット繋ぎです。
カット編集で十分という理由は三つあります。
手間がかからないから
映像編集は最初にゆるく三倍程度の長さに荒く繋いだ映像を、煮詰めるように要素を削ぎ落として行くのが一般的です。
苦労して撮影した映像も構成上不要であれば容赦なく切り捨てます。
膨大な素材から使える素材を選んで並べ、幾度も順番を入れ替えてテンポや流れを作るのです。
編集時間は無限ではありません。手間をかけずに作業を進めることが最優先されます。
カット繋ぎが選ばれる理由は楽だからです。
「カッコいいから」と、編集の途中で余計な編集効果を入れても邪魔なだけです。
プロは要素を削ぎ落としながら頭の中で装飾的な演出を考えます。
作品が繋ぎ終わてからおもむろに装飾的な演出を施すのです。
視聴者の邪魔にならないから
映画やアート作品を除いて、世の中に流れる映像コンテンツのほとんどは情報系の映像です。
ここでは視聴者の知りたい要求に応えることが最優先されます。
視聴者が求めるのは疑問に対する答えです。
過剰な演出や小手先のテクニックは知りたい要求の邪魔になることがあります。
しっかりした構成とテンポのいい繋ぎは「シンプル・イズ・ベスト」から生まれます。
飽きられるから
たぶんこれが一番大きな理由かもしれません。装飾は流行があります。
派手な装飾は見ているうちに飽きて来ます。
フェードイン、フェードアウト、ワイプ、ディゾルブ など、カットとカットのつなぎ目に入れる特殊効果をトランジションといいます。
ウェブ上には業界の専門用語を教える学習系のコンテンツがあふれています。多機能を売り物にした編集ソフトも出回っています。
未熟な編集者はついつい手を出したくなりますが、やりすぎると逆効果です。
カット編集がコメの飯なら、トランジションは調味料のようなもの。
強い刺激は繰り返えすほど効かなくなるからです。
編集の基礎はこの動画を見れば一通り身に想像がつきます。
動画の編集はテクニックを覚えることも大切ですが、映像が本来持つ意味を理解して、物語を作るように構成していく力も求められます。
この力は独学では限りがあります。いちばん身につくのは制作スタッフの力を借りることです。
複数の目から動画の仕上がりを見ることで違った発見ができるのです。
制作プロダクションのような環境を持たないアマチュアは、スクールなどに通うことでテクニックと構成力を学ぶことが出来ます。
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まとめ
必要なのはテクニックに頼ることより、強い企画とブレない構成力を身につけることです。
地味なように見えてもカット編集はシンプルなだけに奥が深いのです。
References
↑1 | カットとカットの間に挿入する切り替え効果のこと |
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