動画は時間をかけて情報やメッセージを伝えることができます。
動画制作者が同じ映像を扱う写真家と決定的に違うのは時間の使い方です。
動画づくりの基礎 3Tと5W2H1T とは何でしょう
動画づくりのスキルを上げるためには、時間の使い方をマスターしなくてはなりません。
企画・構成に必要な文章力
人間は目に入った映像の意味を瞬時に判断します。その判断をもとにして次に目に入った映像の意味を推測します。
時間の使い方とは、人間の判断や推測を計算しながら最も効果的な伝え方を編み出すことです。
その並べ方を物語、ストーリーと呼びます。
眼に入ってくる映像が同じでも順番が入れ替わると全く違う意味を持つことがあります。
映像の並べ方次第では伝わる内容は大きく変わります。
繋ぎ方がうまくいくと、視聴者は最後まで見てもらうことができますが、失敗すると見るのをやめてしまいます。
映像の並べ方つまり構成力というスキルは動画制作者に求められる必須の条件なのです。
構成力を磨くことは、動画制作という物理的な作業を続ける上でも重要です。
動画制作には多くの人が関係します。そのため自分が作る動画の内容を口頭ではなく文章にして関係者に伝えなければならないのです。
制作者はこの動画を使って何が言いたいのか、そのためにどんな映像を作らなくてはいけないのか。
取材対象や出演者、制作関係者全員に制作の意図を伝えるには文章や絵コンテなどを使います。
つまり、写真家と映像制作者の違いは、ストーリーに仕立てる構成力の有無であり、文章力の差にあるのです。
動画制作の基本 3Tと 5W2H1T
では具体的にどのような手を使って動画制作者は意図を伝えるのでしょうか。
動画制作に欠かせないのは企画書です。
企画書の中には完成した動画にほぼ近い狙いやストーリーが法則のようにほぼ決まった形で書かれています。
代表的なものが3Tと5W2H1Tです。
ストーリーづくりの上で動画制作者が意識するのは3Tです。
3Tとは「テーマ」「ターゲット」「タイムリー」のこと。
例えば村祭りを動画にする場合、地域の歴史をテーマにするのか、人にこだわるのか、切り口を絞ろうとします。
切り口つまりテーマを絞ることで制作した動画の方向性が決まります。
ターゲットとは動画を見せたい視聴者のこと。
男性か女性か。日本人か外国人か。プライベートか公か。見せたい相手を絞り込むことで物語の作り方は変わります。
タイムリーとは時代性や社会性のこと。
ニュースとして作るのなら情報性に重点をおきますし、博物館で見せるための動画にするのならば普遍性を考えて構成することになります。
5W2H1T
制作にあたって考えなければならないのは動画の中身だけではありません。
動画づくりには様々な人が関わります。取材先や制作スタッフ、スポンサーなどです。
そのため制作工程も複雑になりますし、場合によってはコストにも目配しなくてはなりません。
関係者に制作意図を伝え、必要な支援を得るため重要なのが「5W2H1T」です。
- 何についての動画か
- なんのために作る動画か
- 見せたい相手は誰か
- いつまでに作るのか
- どこで撮影するのか
- どのように作るのか
- 予算はいくらかかるのか
- 動画の再生時間・尺はどれくらいか
5W は文章の書き方などでよく耳にする「Why What Who Where WhenとHow」それに「価格How Much」と「時間T」です。
動画の企画を作る際、二つの法則を念頭にして、浮かんだアイデアや問題点を箇条書きにします。
要素を整理していく際、足りない情報が見つかったらその情報をリサーチします。
リサーチする際のポイントは、ストーリーを考える上で必要な情報を漏らさずに集めることです。
文献だけでなく、必要に応じて関係者の話なども掘り起こします。
取材を進めるうちに、それまで漠然としていた素材が忌みを持ち始めます。
それまで聞いたこともなかった話が出てきたり、取材者が「なるほどそうだったのか」と腹落ちするようなエピソードが見えてきたら企画に力がついてきた証です。
取材から得た情報を整理しながら構成していくことで、自分オリジナルのストーリーを作ることができます。
初心者が身に着けたい「三段構成」
構成とは物語の展開のこと。「起承転結」などが有名です。
動画に向くのは「三段構成」で起承転結よりもテンポがいいのが特徴です。
紹介・解説型
冒頭にテーマを語り、説明に入るパターン。「この商品は画期的だ」「なぜなら新発明だからだ」「この店で売っている」と言うように、サービスの告知から伝えたい情報をストレートに構成している。
問題提起型
最初に問題や注意点を表示して解決策を提示するパターン。ブログなどの構成でよく使われる。「今後が心配ですよね」「解決方法があります」「答えはここで手に入ります」
結論予告型
結論を先に提示して、そこに至る工程や根拠を提示する。「事件が発生しました」「経緯はこうです」「事件による影響が心配されます」と言うように、ニュースや新聞記事などでよく見かける。
まとめ
良い動画とは「動画でなくてはできない表現がある動画」をいいます。
その動画を評価するのは視聴者です。
えてして制作者自身が陶酔してしまうことがありますが、それは間違っています。
動画を見た視聴者の心を揺さぶることです。
人の気持ちが動く動画を作る姿勢は、制作者の進むべき方向を示してくれます。
独立して稼げる動画クリエイターを目指すなら映像制作と実務案件を通して学べるスクールがあります