動画の切り抜きは手間がかかります。
単純な形を切り抜くのであればマスクパスでなんとかなりますが、動きのある切り抜きは大変です。
そこで登場するのが、映像素材の必要な部分だけを切り抜き、それ以外を透明にするツール「ロトブラシ」です。
動画の一部を切り抜くロトブラシの使い方
ロトブラシを使うと動画の切り抜き合成がスピードアップします。
ロトブラシを使ってこんな動画を作ってみました。
輪郭線の処理など甘い部分はありますが、この程度の作業なら小一時間で作れます。
動画の切り抜きツール「ロトブラシ」
切り抜きたい動画をタイムライン上に配置します。
[ツールパネル]から[ロトブラシツール]を選択します。※この時点ではロトブラシツールは機能しません。タイムラインパネル上の[ソース名]をダブルクリックします。
すると、プレビューモニターが[コンポジションプレビュー]から素材自体のプレビューに切り替わり[ロトブラシツール]が使えるようになります。
- ロトブラシで動画を切り抜く作業はパソコンの性能によります。非力なパソコンでは時間がかかる上、修正するたびにカット頭から処理を繰り返すため、カットは5秒以内に小さくすることをお勧めします。
- 動画のカットの分割は、[Ctrl]+[Shift]+Dでできます。分割したカットごとに切り抜き作業を繰り返します。
切り抜きたい場面の冒頭を表示します。
[ロトブラシツール]を選択しているためカーソルの先端はプラスマークが表示されているはずです。このプラスマークを使って切り抜きたい対象の輪郭の内側を大雑把になぞります。
緑の線がついている周辺が残ります。
こうすることで動画の一コマにマスクをかけるのです。
輪郭はソフトが自動的に判別するため塗り残しが出る場合があります。
その時は選択されなかった部分を再度なぞります。
逆に、切り抜けずに残ってしまった部分は[Alt]を押すとカーソルの先がマイナスマークになるので、消しゴムのようになぞることで消すことができます。
モニターの下にあるインジケーターを時間軸に沿って動かすと、自動的にマスクの範囲が適用されます。
タイムラインを進めると、前のフレームの物体の位置を追従してマスク処理を行うというわけです。
自動処理なので輪郭線がおかしなカットがたまに出ますが、その時は都度修正を施します。
カットを修正するたびにレンダリングがカット頭から繰り返されるので、時間に余裕を見ながら作業しましょう。
しっかり切り抜けているかどうか確認する場合は、左上の[コンポジション]を押すことで確認できます。
切り抜き作業が終了したところでロトブラシ作業は完了です。
ロトブラシ作業を完了するには画面下にある[フリーズ]をクリックします。
すると頭からレンダリング作業が始まります。
マシンパワーを使う作業なので時間がかかります。
いったん[フリーズ]した画面でも、追加修正は可能です。
修正するには[フリーズ]のチェックを外すことで編集画面になります。
背景となる動画をタイムラインに読み込み合成してみました。
輪郭がはっきりして動かない素材は境目がきれいなのに対し、複雑に入り組んだ場所や動きのあるシーンは切り抜けていないことがわかります。
しっかり切り抜こうと思ったら、マスクパスで修正を加えるように1フレームごとに修正していく必要があるので注意しましょう。
フレームレートが一致しません
「フレームレートが一致しないか、フィールドを含むフッテージが見つかりました」と画面下に黄色いバーが出てきて選択ができないことがあります。
これは元の動画と、その動画を配置したコンポジットのフレームレートが一致していない場合に出る表示です。
コンポジットのレートを動画のレートの数値に変更すれば正常に動作します。
まとめ
ロトブラシとはPhotoshopで画像を切り抜くときに使う自動選択ツールのようなものです。Photoshopは四角形で囲えばよかったのに対して、こちらは筆でなぞるというやり方の違いがあるだけです。
なにより直感的に処理することができるので大幅にストレスが軽減できます
動画編集を楽しむには効率的に進めること。かなりのお役立ちツールと言えそうです。
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