
年が改まり、確定申告の時期がやってきました。
新人のシニア個人事業主としてはこれからが生活防衛の正念場です。
サラリーマン時代は面倒なことは全て会社がやってくれるので税金のことは全くわからなくても生活に困りませんでした。そのつけが定年退職とともにやってきました。年末調整の仕方が全くわかりません。
マスコミには私のように定年間際になって慌てる人が多いです。
昭和な時代を生き抜いたマスコミ人の価値観は「仕事優先」。「宵越しの金は持たねえ」という江戸っ子気質の人がほとんどです。
そんな人ほど定年後の生活設計をないがしろにしがち。
今回は、定年後フリーランスで稼ぎたいと考えるシニア向けに確定申告の小技をまとめました。
フリーランスのシニア動画制作者が体験から学んだ 確定申告 対策
ところで、課税対象となるおカネとは一体何か知っていますか。
答えは
収入―経費=課税対象となる所得
副業と年金が主な収入源の人にとって、年末調整でお世話になるのはこの公式です。
「収入」と「所得」という文言の違いに戸惑うサラリーマンが結構います。
収入がいくら多くても収入を得るために費やした費用が多ければ手元になにも残りません。ということは収入に課税したら誰も仕事をしなくなります。
税金がかかる対象は【所得】です。
サラリーマン時代は会社が自分に変わって課税対象となる所得を計算してくれていましたが、今度は自分から申告しないと納税しなくてもいい金額を国に持って行かれるのです。
こうした基礎知識は誰も教えてくれません。定年が視野に入り始めたら入門書を複数冊読みあさることで大体の疑問が解消できます。
こうした入門書に目を通すことで確定申告対策はほぼできるはずです。
- 副業収入が勤務先にバレないようにするには自分で納税を選ぶ
- ふるさと納税や所得控除、扶養控除は最大限利用する
経費と控除の知識を身につけるだけで情弱から脱出することができます。
しかし入門書に書かれていることは万人向けの事例です。
さらに踏み込んだ節税法は本には書かれていません。条件は人それぞれ違うからです。
そこで、フリーランスになって確定申告を何回か経験して気づいた点を列記します。
確定申告のツボ
定年後個人事業主となり、副業としてきた映像制作とブログ収入の他に、公的年金と私的年金収入があります。加えて半年ほど業務委託契約で雇用を延長して働きました。所得税は会社が源泉徴収してくれました。
このような個人的な背景を元に感じた節税のポイントをまとめました。
- 源泉徴収された税金は個人事業主の所得で相殺できる
- 年金の所得は経費で落とせる
- 自分や妻の介護保険料は控除の対象になる
- 別居中の親も扶養控除の対象にできる
- 住宅ローンも経費にできる
- 按分で光熱費やクルマ関係も経費にできる
- 按分比率は自宅の作業スペースを参考にする
源泉徴収された税金は個人事業主の所得で相殺できる
とは、個人事業主として得た所得が赤字だった場合、赤字に応じて所得税が計算されます。つまりサラリーマン時代に源泉徴収された所得税と合算されるため、結果として所得が相殺されるのです。
年金所得は経費で落とせる
公的年金も私的年金も所得は「雑所得」に分類されます。
「雑所得」は必要経費の対象になるため、副業で得た収入と合算して経費で落とすことができます。
自分や妻の介護保険料は控除の対象になる
確定申告では制度上様々な控除が利用できます。制度は自分で探さないと適用されません。
租税公課といって、所得税や罰金などを除く税は経費として申告できます。介護保険料もその一つです。
65歳以上の高齢者は自分の介護保険料を納める義務がありますが、初年度は自分で介護保険料を納付しなくてはなりません。保険料の通知が届くので、その金額を控除することができます。
老親の扶養控除も申請できる
夫婦や子供の扶養控除はよく知られていますが、本人や配偶者の両親の扶養控除も申請できます。
具体的には年金生活で老人ホームに入居した実母や実父が年金収入のみで別居生活していた場合、扶養控除とすることができます。転出や死亡等でその年の途中で変更になっても申告できます。要件として金銭支援が必要とありますが金額についての明記はないのがポイントです。
住宅ローンの利息分は控除できる
築20年の住宅にローン生活を続けています。新築住宅に対する控除はよく知られていますが、個人事業主として自宅を事務所がわりにしている場合、家賃相当の控除はないのか探したところ、ローンの利息を経費にできることがわかりました。ローン契約の際作られた月々の返済額にある年間利息が根拠となるデータになります。
光熱費やクルマ関係も按分して経費にできる
個人事業主として自宅を事務所がわりにしている場合、住宅ローンの利息分は経費にできると書きましたが、仕事に使うのであればインターネットや新聞代などは通信費や新聞図書費として経費にできます。さらに電気ガス水道代、NHK受信料も経費として主張できます。
ただし、プライベートに使った費用は経費にならないので一定の料率で切り分けないといけません。その時使われるのが「按分」というルールです。
いわば割り勘のようなものですが、その比率はそれぞれ説明できるようにしておく必要があります。
私は家屋の面積の中で仕事場が占める面積の比率約20%を按分比率にあてました。

納税は国民の義務
初心者にとって確定申告のハードルが高く感じるのは、仕組みや使われている用語のわかりにくさです。確定申告の手続きのため税務署に行って必要書類を見て感じました。
所得税の確定申告の時、あわせて住民税の確定申告も行うことも、退職して次年度の税金が高くなるという説明を聞いて初めて知りました。
納税は国民の義務
といいますが、必要に迫られないと面倒なことはやらないのは人間の本性です。
ではどうやって面倒な作業をやる気の出る仕事に変えられるか。
私は悩む人ほど、フリーの会計ソフトを使ってみることをお勧めします。
会計ソフトのメリット
私が今使っているのがFreeeという会計サービスです。内容は下記の広告バナーから確認ください。弥生から乗り換えて2年使っています。

Freeeに紐づけているのは楽天銀行です。
楽天銀行は昨日Freeeとの自動連携契約が終了し、freeeユーザーが慌てる事態になりました。でもいろいろ考えて私はこのまま使い続けることにしました。
理由は使いやすいからです。
本記事の「確定申告のツボ」で書いたような事案は、実際Freeeの記帳を行いながら解決しました。
freeeを使った帳簿付けは銀行口座と紐づければ超簡単。
勝手に必要なデータだけ抽出して帳簿に記入してくれます。プライベートで使った費用は「事業主借り」で除外するのも超簡単。
手書きの領収書を追加入力することもありますが、クリック一つで重複データの抽出もしてくれます。
個人事業主の届け出や優遇措置が受けられる青色申告申請もワンタッチで終了に近いほど簡単に終わりました。
また確定申告の計算はパソコン上で何度でもやりなおすことができるので、単純な計算ミスを防げます。自分が使える制度を検証してくれるのもこうしたサービスのメリットの一つです。
専門的な知識は積み上げていかなくてはなりませんが確定申告に費やす時間が削減できるので、興味のある人は一度試してみてはいかがでしょうか。

まとめ 確定申告から学ぶ後半の人生
定年退職して会社からお払い箱になると年金生活が始まります。年金だけでは食べていけません。
当然サラリーマン時代に副業をしていた人は本業化して収入源を模索することになります。
私のようなケースに当てはまる人は、確定申告を利用して定年後の資産を学びなおすきっかけにしたらいいと思います。
もし十分に資産を蓄えた人がいるなら、その資産を派手に使って散財することをお勧めします。
「DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール」に書いてあるように、蓄えたおカネは自分のために使いきることが人生の意味だからです。
初心者向け参考図書
フリーランスの視点から見た確定申告のしのぎ方。漫画で描かれているので節税の概要がイメージとして伝わります。税理士のアドバイスが千人力です。
同じく漫画仕立てで書かれた節税本。前作と読み比べることで正確なようでいてアバウトな税金をめぐる解釈の違いが見えてきます。
個人事業主になると必要に迫られる請求書。その書き方や使い方が一覧になった参考書。