離れた場所で同じプロジェクトを編集したい――そんなときに便利なのがクラウド編集です。
特に、DaVinci ResolveのBlackmagic CloudとiCloudなどのクラウドストレージを組み合わせた方法は、低コストで高機能な編集環境を構築できる点で注目されています。
この方法では:
- 軽量なプロジェクトファイルを Blackmagic Cloud(有料)で管理し、
- 大容量の動画素材は iCloud(大容量プラン)に保存・共有
というように、役割を分担することでコスト削減と柔軟な編集スタイルの両立が可能になります。
この記事では、「Blackmagic Cloud × iCloud」コンビによる動画編集の進め方を、初心者にもわかりやすく解説します。
✅Blackmagic Cloud × iCloudで効率よく動画編集する方法
【前提】役割の分担
サービス | 主な役割 |
---|---|
Blackmagic Cloud | DaVinci Resolveの「プロジェクトファイル」共有(.drpなど) |
iCloud(大容量プラン) | 素材ファイル(映像・画像・音声)の共有用 |

① iCloudで動画素材を共有する
- 全員が同じApple IDファミリーに属しているか、iCloud共有フォルダを活用
- Macユーザー同士なら、iCloud Driveで共有フォルダを作成
- フォルダ名例:「プロジェクト素材_●月号」
- DaVinci Resolveでリンク切れを防ぐために 各メンバーは 同じフォルダ構成・パス でiCloudフォルダを同期しておきます。 例:/Users/あなたの名前/iCloud Drive/VideoProjectAssets/
※詳細は下記「iCloud Driveで同期する方法(例付き)」参照 - iCloudで共有したい素材(映像・音声・画像)をアップロードし、チームメンバーにアクセス権を付与します。
② Blackmagic Cloudでプロジェクトを管理する
- DaVinci Resolveの「クラウドプロジェクトライブラリ」に新しいプロジェクトを作成 → 必要に応じて共同編集者(最大30名)を招待します。
- 素材ファイルはDaVinci Resolveに「リンク」する形で読み込みます。 → このとき素材ファイルはiCloud Driveの共有フォルダから参照するようにします。
- 各編集者がDaVinci Resolveを開けば、クラウド上のプロジェクトファイルと、ローカルに同期されたiCloud素材が連携され、スムーズに共同編集できます。
③ 注意点:リンク切れ対策とトラブル防止
- 全員がiCloudフォルダを完全に同期していることが前提です。 → ネットワークが不安定な環境では一部の素材が非表示・リンク切れになる可能性があります。
- 共有するiCloudフォルダ内のフォルダ階層・ファイル名を変更しないこと。 → ファイルのパスが変わるとDaVinci側でリンクが外れます。
- Blackmagic Cloudのプロジェクトファイルに使用する素材はリンク読み込み(importではない)にしておく。
※「 iCloud Driveで同期する方法(例付き)」
💡全員が同じ場所にファイルを保存する例:
swift
コピーする
編集する/Users/あなたの名前/iCloud Drive/VideoProjectAssets/
この「VideoProjectAssets」フォルダにすべての動画・音声・画像ファイルを入れて、編集作業を行います。
🔄 iCloudでの同期手順
【Step 1】iCloud Driveを有効にする
Macの「システム設定」→「Apple ID」→「iCloud」→「iCloud Drive」をオンにします。
「デスクトップと書類フォルダ」もオンにすると便利です。
【Step 2】共通フォルダを作る
Finderで以下のように作成:
swift
コピーする
編集する/Users/あなたの名前/iCloud Drive/VideoProjectAssets/
このフォルダを全員に共有(右クリック→「共有」→「人を追加」)。
【Step 3】全員が同じ場所に保存する
メンバー全員が上記の同じパスにこのフォルダを配置します(名前の部分だけはそれぞれ異なりますが、それ以外の構成が同じならOKです)。
✅まとめ|この構成のメリットとデメリット
メリット | デメリット |
---|---|
・Blackmagic Cloudの容量節約・高価なクラウドストレージを避けられる・素材の差し替えもiCloud側で完結 | ・iCloudの同期に時間がかかる場合あり・素材リンク切れのリスク・Windowsユーザーとの共有に難がある |
Windows PCとMacBookの組み合わせで動画編集する方法
- 自宅ではWindows PC
- 外出先ではMacBook を使って DaVinci Resolveのプロジェクトを編集したい。 素材はiCloud、プロジェクトはBlackmagic Cloudで管理したい、という構成で編集する場合の手順は次のとおりです。
✅Windows+MacBookを併用して「Blackmagic Cloud × iCloud Drive」を使う方法
サービス名 | 用途 |
---|---|
Blackmagic Cloud | DaVinci Resolve の「プロジェクトファイル」をクラウドで共有(OS間でシームレス) |
iCloud Drive(大容量プラン) | 動画・音声・画像などの素材ファイルを保管・共有(Win/Mac両方で使用) |
✅セットアップ手順|Blackmagic Cloud × iCloud併用編集(1人用)
【STEP1】Blackmagic Cloudを準備する(プロジェクト共有)
- Blackmagic Cloudにアカウント登録・ログイン
- https://www.blackmagiccloud.com にアクセスしアカウントを作成。
- 月額764円(2GB)プランでOK。
- DaVinci Resolveでクラウドプロジェクトを作成
- Resolveを開いて「クラウドプロジェクトライブラリ」に新規作成。
- プロジェクト名をつけて保存。
- これで、どちらの環境でも プロジェクトの編集履歴がクラウドに同期されます。
【STEP2】iCloud Driveで素材を共有する
Windows側
- Microsoft公式サイトから「iCloud for Windows」をインストール
- ダウンロード:https://support.apple.com/ja-jp/HT204283
- iCloudにログインし、「iCloud Drive」を有効化
- Windows上のエクスプローラーに「iCloud Drive」が表示されます
Mac側
- macOSではiCloud Driveが標準搭載
- Finder内に「iCloud Drive」が表示され、すでに素材フォルダが同期されているはずです
【STEP3】プロジェクトファイルと素材ファイルを連携する
▼プロジェクト(.drpなど)
- Blackmagic Cloud上のクラウドプロジェクトを利用 → 自動的に同期されるので、自宅でもMacでも開いてすぐ編集可能です。
▼素材ファイル(動画・画像・音声など)
- iCloud Drive内のフォルダに素材を配置し、Windows・Mac両方で同じパス構成にしておきましょう。
▼おすすめのiCloudフォルダ構成(例)
/Users/あなたの名前/iCloud Drive/VideoProjectAssets/
├── Footage(映像)
├── Audio(音声)
├── Images(画像)
├── ProjectFiles(.drpなど)
- DaVinciで素材を読み込むときは「リンク読み込み(Import as link)」で
- パスがずれるとリンク切れになるので、両方の端末で同じフォルダ名・構成を保つことが大切です
✅実際の編集手順(日常の運用)
場所 | 作業内容 | ポイント |
---|---|---|
自宅(Windows) | DaVinci Resolve起動 → Blackmagic Cloudのプロジェクト開く → iCloud Drive内の素材を使用して編集 | iCloud Driveの同期状態を確認してから作業開始 |
外出先(MacBook) | 同様にResolveを起動 → Blackmagic Cloudからプロジェクト開く → 同じiCloud素材を参照して編集再開 | ネット回線が安定していれば問題なし |
✅この構成のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
✔︎ OSの違いに関係なく編集が可能(Win/Mac間OK)✔︎ プロジェクトは自動同期で安心✔︎ 大容量素材もiCloudで柔軟に扱える | ✘ iCloudの同期にはタイムラグあり(Wi-Fi推奨)✘ 素材のパスがズレるとリンク切れになる可能性あり |
✅最後に:より快適に使うポイント
初心者向けポイント | おすすめ度 |
---|---|
ソロ編集で使う(バックアップ目的) | ★★★☆☆ |
チームでショート動画を編集 | ★★★★★ |
長尺映画・ドラマの共同制作 | ★★★★☆ |
大容量の素材管理も含めて完結させたい | ★★☆☆☆(外部クラウド併用が無難) |
- 素材ファイルの構成は極力シンプルに
- iCloudの同期状態を確認してから作業する
- Resolveの「メディアオフライン」表示が出たら、リンク再設定で対応
「編集そのものより、素材の管理がやや面倒」という印象もありますが、使いこなせば非常に強力な武器になるサービスです。
こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 Blackmagic Cloud を書きます。