【雑記】音のことは 音響効果 さんに任せましょう

フルタニ

こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 音響効果 を書きます。

動画につけるBGMや効果音。

「なんか少しいけてない」と思ったことありませんか。

選んだBGMが動画のテンポと合わないとか、背景音とナレーションのメリハリがつかないなど、音にこだわり始めると意外に手間がかかることがわかります。

ふつう音の処理は映像編集の最終盤。

ただでさえ締切間際の限られた時間の中で作業に追われるわけですから、よく考えると放送局で働く音響効果さんの仕事は神業に思えてなりません。

音響効果さんの仕事の中身をみてみます。

音響効果という職人芸

動画が尺になり、完成した物を完プロ素材といいます。

スーパーを当て、音声をいれ、効果音や音楽を入れると完プロになります。

完プロは飾りがついていません。このまったくなんの音も付いていない完プロ素材に音をつけるのが音響効果と言う職人芸の世界です。

若い人に聞くと、この過程はカッコイイ仕事の一つです。

私も初めの頃はのめり込みました。仕事の流れを辿っていきましょう。

まず編集があがります。制作者は音響効果担当者に編集が上がった完プロ素材を渡します。

同時に完プロ素材のカット表も作ります。カット表はカット毎の実時間も書き込みます。

つまり映像素材とカット表の二つがないと音がつかないのです。

音響効果担当者はナレーションも何も入っていない完プロ素材を見ながら音の設計を行います。

音の設計とは音楽や効果音をどの位置に当てていくかを考えることです。

映画の場合は映像と音声を別個に作りますが、テレビなどの場合は素材の音を中心に全体を設計します。

音のレイアウトが済んだところからが音響効果さんの腕の見せ所です。

膨大な音響素材の中からその作品のイメージに近い音楽や効果音を探し出すのです。

楽曲素材は実際やってみるとわかりますが、自分のイメージにあった曲を探し当てるのはなかなか大変です。

一曲探し当てるのに原盤の視聴に数時間かかることも稀ではありません。

ましてや締め切りが近づき、コメント書きやスーバーの発注、などやることが多い制作現場では音作りのような悠長なことはやってられないのです。

探し出した音源は当然そのままでは編集したカットの尺に微妙に合いません。

そこで音響効果の担当者は音源のテンポや流さを独自に編集します。

素材に収録された生の音がバンクみの流れにそぐわないときは、その音を丸ごと入れ替えることもあります。

編集が終わると音源を音声専門のスタジオに持ち込んで音の部分だけ完成させます。

ここではナレーションを録って当てることもあります。

音プロに学ぶ音作りの秘訣

大学で学生さん相手に映像制作の講師を勤めたことがあります。

企画や撮影、編集で苦労する学生さんが音楽のことになるとなぜか目を輝かせるようにこだわるのが不思議でした。

番組制作は分業です。制作が携わるのは番組の骨組みの部分。

音響効果さんなどその道のプロの仕事は外壁の部分。

それぞれが担当する分野をひたすら掘り下げるのが当たり前だからです。

できることがあるとすれば、音響効果の仕事から逆算してそ素材の質をあげること。

つまりロケの現場で可能な限り良質の音を録ることしかありません。

ところで、テレビと映画の音の付け方の違いってなんだかわかりますか?実は大きな違いがあるんです。それは「足し算」と「引き算」、つまり音を足すのか引くのかということです。
映画はフィルムカメラで撮影しますが(最近は映画もビデオカメラを使用することが多くなりましたが)、テレビはビデオカメラです。
フィルムカメラの場合、シンクロノイズ(カメラを回したときのセリフやノイズ)を別のレコーダーで録音し、あとでタイムコードという信号で映像と合わせるわけです。
 一方、テレビはビデオカメラで撮影するので、カメラを回せばその周囲の音が自動的に録音されます。撮った映像を再生すれば音も入ってるわけです。
 音の設計をするにあたって、映画はまず始めに音を足すこと、どこにどんな音を付けるのかを考える。
 一方、テレビはシンクロノイズが入ってるので、必要のない音を引き算することを考えるわけです。
 たとえば、女の人がハイヒールで歩道を歩くアップの画があるとします。映画では当然音がないですから、まずハイヒールのコツコツという音から付けていきます。しかしテレビだと音は入ってる。ただ街のノイズやさまざまな音が入ってるため、ハイヒールのコツコツがクリアには聞こえなかったりします。だったらそのカットの音は引いて付け直したほうがいいわけです。映画は映像を見たときに、欲しい音から付けていく。テレビはシンクロノイズがあるぶん、そこに気がつかないことが多いのです。
 最初に音の設計を考えるとき、まず音を絞ってみます。このカットはこんな音を付けたらおもしろそうだとか、常識にとらわれない発想が大事です。中島 克(なかじま まさる)
有限会社サウンド・デザイン・キュービック代表取締役。1985年、東京サウンドプロダクションを退社後、キュービックを設立。TSP在籍時には、テレビ朝日「川口探険隊」の選曲を担当。独立後は、「今夜は好奇心」 「驚き桃の木20世紀」などの番組も担当した。現在は「星新一のショートショート」「美の巨人」など楽曲制作も含め幅広く活動している。

【コラム】テレビ音響効果の世界 第1回「映画は足し算、テレビは引き算」 | NOAHBOOK

まとめ

プロダクションに所属していますが、音響効果さんは基本一匹狼。

スキルが認められれば指名で仕事が舞い込みます。

なので、仕事がない休日でも音響効果さんたちはひたすら新曲を聴いて自分のライブラリーを増やし続けています。

なぜなら、ライバルの音響効果さんも使える曲を探し続けているからです。

使われている曲が相手の作品と被ったらカッコ悪いですよね。

なので、音響効果さんたちの音源ハンティングは広くそして深くなります。

自分への投資力の差が生き残りの秘密なのかもしれません。