手持ちで撮影した動画をドローンやスタビライザーで撮影したかのようなブレの無い動画にしたいと思いませんか。
そんなことを可能にするiPhoneアプリが登場しました。
このアプリを使えばこんな動画を作ることができます。
こんなことを可能にしたのが「NeRF(ナーフ)」と呼ばれるディープラーニングを使った画像生成技術です。
ドローンを使うことなしにぬるっとした動画が作れるLumaLabsAIの新しいアプリ「Luma Flythroughs」を紹介します。
Luma Flythroughsとは
「Luma Flythroughs」はiPhoneで1方向に直進して行くだけでスタビライザーで撮ったような映画的な動画ができるアプリです。
作ったのは別記事で、iPad用編集ソフトとして紹介したLuma 社です。
リリースと同時に動画界隈に衝撃が走りました。
リフォーム途中のリビングと工作室をLumaのFlythroughsで撮ってみた。
— モジョン (@mojon1) August 19, 2023
手持ちiPhoneの適当な動画がAIによってヌルヌルのウォークスルーになるの面白い。3Dスキャンと違い窓抜けの景色も綺麗に取れるのが凄い。#LumaFlythroughs pic.twitter.com/fiKWiuLkAQ
威力を発揮するのが室内の動画です。AIが画面に映った建築物の構造を解析し立体的な画像を生成してくれます。
#LumaFlythroughs を使ってみた!!!
— Aster@NeRFを広める人 (@Aster_NeRF) August 19, 2023
広い範囲でも破綻なく再構成出来てるし,鏡の世界も全然違和感ない.
あらかじめどういう映像がほしいのか決めてから撮影するのがよさそう
動画は3倍速#LumaAI @LumaLabsAI pic.twitter.com/ZsSXbVwumr
使うのはiPhoneとインストールされたアプリだけ。移動中のカメラの揺れはAIにより補正されることでジンバルで撮影したような滑らかな画像になります。
高輪築堤の石でアーマード化された新橋駅SL広場を今日リリースされた「Luma Flythroughs」を使ってNeRF化。お昼過ぎにアップした動画を @DuckbillStudio さん推奨の2倍速にして再アップしましたw。お昼の新橋SL広場は結構人がいるんですが殆ど消えています。スゴイね!@LumaLabsAI#LumaFlythroughs pic.twitter.com/dUQ7H7153F
— 大西さん (@2012apocalypsis) August 18, 2023
屋外で撮影した映像では、通行人をAIが認識自動削除することで、建築物だけの動画に仕上がります。
【今日の知見】NeRFの使い方のひとつとして、思いついたのは3軸ジンバルやステディーカムで撮られていない手持ちのガクガクな動画をドローンのようにスムースに見せるエフェクトして使える件。あっ!30号棟の中を手持ち撮影した素材でテストしてみよう!#軍艦島#潮降り街#NeRF#LumaAI#LumaLabsAI pic.twitter.com/MYOMhio2BP
— 大西さん (@2012apocalypsis) January 29, 2023
撮影済みの動画もアップロードすることでAIが画像生成してくれます。
Luma AIのFlythroughsアプリで制作した石切り場のNeRFの動画です。(2本繋げて倍速で再エンコード)
— ダックビル@STUDIO DUCKBILL LLC (@DuckbillStudio) August 18, 2023
真っ暗な石切り場の空間から樹木越しの透過光まで露出差の激しい条件でも奇麗に動画化されています。
自然景観もばっちりですね!#LumaFlythroughs @LumaLabsAI pic.twitter.com/wopWli9Nfa
身近な景色も設定次第でゲームの背景のような世界観を持つ動画にすることができるので、クリエイター界隈から関心が集まります。
出航する船をLuma Flythroughsでキャプチャしてみたらこうなった。
— ダックビル@STUDIO DUCKBILL LLC (@DuckbillStudio) August 20, 2023
どのぐらいの時間(or 空間)範囲のフレームをNeRFのトレーニング対象にしているのか何となく想像がつくような。#LumaFlythroughs @LumaLabsAI pic.twitter.com/XPrDMJU7nC
Luma Flythroughsのメリットは
被写体の周りを歩きながら撮影するだけで3D映像が作れることです。
これまでこうした映像の撮影には、グリーンバックの部屋で数十台のカメラを使い360度の全方位から撮影する「ボリュメトリックキャプチャ」という技術で作られていました。
最近になって「NeRF(ナーフ)」と呼ばれるディープラーニングを使った画像生成技術が開発され、複数アングルから撮影した2D画像を深層学習を活用して好きな方向から自由に閲覧できる3D画像にすることができるようになりました。
Luma Flythroughsの特徴は「NeRF」をコンパクトなアプリに閉じ込めたことです。これによりiPhoneがあれば誰でも使えるようになりました。
アプリを使って撮影すると、撮影された画像がいったん3Dとして認識されます。
そのデータをもとにAIがオリジナルに似せた画像を新たに生成して動画にします。
360度ぐるっと撮る必要はなく、ドローンのように見た目を意識して撮るとAIはより忠実に画像を生成するため、出来上がった動画はブレの無い動画に仕上がります。
メリットをまとめると
- 映像にしたい対象の周りを歩くだけで3D映像が作れる。
- 上下動が激しい素材映像でも、ブレの無いドローンのような安定した動画が自動生成できる。
- 撮影中、画面に映り込んだ人物は自動的に消され、ガラスの反射や透過も補完されるので、破綻のないゲームの背景のような世界観に似た動画が作れる
デメリットは
iPhoneのカメラに特化したアプリであること。なのでパソコンからは使えません。
人の集まる場所や暗所での撮影は苦手なようです。
Luma FlythroughsのNeRFテスト動画。
— 大西さん (@2012apocalypsis) August 20, 2023
これは上手くいかない例としての映像です。やはり人が多い場所はダメですね。@LumaLabsAI#LumaFlythroughs pic.twitter.com/ct9uQS8tJV
最大のハードルはコスト。
1作品ごと書き出しで1,500円ほど課金されるので、簡単にダウンロードするわけにはいきません。
なので、用途は不動産の物件内覧用とか、公演が終わると即解体されるような貴重な空間の記録などに限られそうです。
まとめ
スタビライザーで撮ったような映画的な動画ができるiPhoneアプリが登場しました。
撮影した画像はいったん3Dとして認識され、そのデータをもとにAIがオリジナルに似せた画像を新たに生成して動画にしてくれるというもの。
上下動が激しい素材映像でも、ブレの無いドローンのような疾走感ある動画にしてくれます。
興味のある人は試してみてはいかがでしょうか。
こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 Luma Flythroughs を書きます。