よく見かける路上撮影。投稿動画などでもあまり気にせずに撮影することがありますよね。
しかし、商用など大がかりな動画制作をする際、特定の場所で撮影を行うには「撮影許可」を取る必要があることがあります。特に公共施設、店舗、私有地などを使用する場合、無断で撮影するとトラブルに発展する可能性があります。
この記事では、初心者でもわかりやすく「撮影許可願い」の書き方や注意点を解説します。
動画制作に必要な「撮影許可願い」の書き方:初心者向けガイド
撮影許可が必要なケース
以下のような場所で撮影を行う際には、撮影許可が必要なことが一般的です:
• 公共施設(道路、公園、図書館、駅など)
• 商業施設(ショッピングモール、レストラン、カフェなど)
• 私有地(マンションの敷地内、住宅街の私道など)
• 観光地(神社仏閣、美術館など)
撮影を予定している場所の管理者やオーナーに事前に確認しましょう。
撮影許可願いに含めるべき情報
撮影許可願いは、相手に対して撮影の意図を伝え、安心してもらうための重要な書類です。以下の項目を含めるのが一般的です:
![](https://i0.wp.com/oiuy.net/wp-content/uploads/2020/06/image-1.jpg?resize=640%2C853&ssl=1)
道路での撮影は許可が必要です。道路使用許可を取るには、事前に撮影場所を管轄する警察署に行き、道路使用許可を申請することで取得できます。道路交通法では「一般交通に著しい影響を及ぼすような通行の形態若しくは方法により道路を使用する行為又は道路に人が集まり一般交通に著しい影響を及ぼすような行為」と規定されています。
1. 宛先
管理者やオーナーの名前や役職を記載します。特に正式な施設や企業では、総務部や広報担当者などに送る場合が多いです。
2. 申請者情報
撮影を行う代表者または団体名、連絡先を明記します。
• 例:〇〇プロダクション 担当:山田太郎
• 住所、電話番号、メールアドレス
3. 撮影日時
具体的な撮影日と時間帯を記載します。予備日がある場合はその旨も書き添えると親切です。
• 例:2024年1月15日(月)午前10時~午後3時
4. 撮影目的
動画の使用目的を簡潔に説明します。商業用、非営利、個人の記録用などの違いを明確にしましょう。
• 例:YouTube動画の制作(非営利目的)
5. 撮影内容
どのような撮影を行うのか具体的に書きます。機材の規模や人数も記載しましょう。
• 例:出演者2名、カメラ1台、三脚1台の小規模な撮影
6. 撮影場所
場所を具体的に指定し、範囲や利用する施設なども記載します。
• 例:公園内の中央広場およびベンチ周辺
7. 協力のお願い
施設や土地を傷つけないこと、周囲に迷惑をかけないことを誓約する一文を添えます。
• 例:撮影中は施設を汚損しないよう細心の注意を払います。また、終了後は速やかに清掃し撤収いたします。
8. 添付資料(必要に応じて)
企画書、撮影スケジュール、参考動画などを添えると相手に内容を理解してもらいやすくなります。
撮影許可願いのテンプレート
撮影許可願には統一した書式はありません。そのため許可願の提出先ごとに必要な情報は異なります。下記の記事が参考になります。
撮影許可願いの例文
撮影許可願い
〇〇株式会社 総務部御中
拝啓
平素より大変お世話になっております。
このたび、弊社では以下の通り貴施設において撮影を希望しております。つきましては、撮影許可をご検討いただきたくお願い申し上げます。
• 撮影日時:2024年1月15日(月)午前10時~午後3時
• 撮影目的:YouTube動画制作(非営利目的)
• 撮影内容:出演者2名、カメラ1台、三脚1台を使用した簡易な撮影
• 撮影場所:〇〇公園内中央広場およびベンチ周辺
• 協力のお願い:施設を傷つけないよう細心の注意を払い、終了後は速やかに清掃・撤収いたします。
当日は撮影に関するご質問やご要望に対応できるよう、担当者(山田:携帯番号090-XXXX-XXXX)が常駐いたします。
ご多忙のところ誠に恐縮ではございますが、何卒ご承諾賜りますようお願い申し上げます。
敬具
〇〇プロダクション
担当:山田太郎
TEL:090-XXXX-XXXX
Mail:example@example.com
注意点
1. 提出タイミング
撮影許可願いは余裕を持って提出しましょう。少なくとも撮影予定日の1~2週間前が目安です。
2. 電話やメールでの確認
書類を提出した後、電話やメールで確認を取るとスムーズです。
3. トラブル防止のための準備
許可が下りたら、書面またはメールで承諾を受けた記録を必ず保存しておきましょう。
ロケーションとは
![](https://i0.wp.com/oiuy.net/wp-content/uploads/2020/06/2020_06_18_003.jpg?resize=700%2C388&ssl=1)
その境界線を示す言葉が「ロケーション」では一体ロケーションとはどういうものをいうのでしょう。
ロケーションとは道路を占有したり、人が集まったりする撮影行為をさします。
具体的なイメージとしてはドラマ撮影や数十人規模のスタッフが関わる番組のロケなどです。
つまり、ロケーションとは「管理上支障を及ぼすおそれ」のある行為をさすのです。
放送局時代、地方選挙の事務所中継に携わったことがあります。
事務所中継とはいわゆるバンザイ中継です。当選した候補者の喜びの声、落選候補事務所の敗戦の弁を生中継するものです。
選挙事務所はだいたい駅前の賑やかな場所に設営されていて駐車場もない場合が少なくありません。
放送局の中継車は事務所近辺の路上に止めざるを得ない場合がほとんどです。
そのため選挙が始まると、私も何度か所轄の警察署まで道路使用許可を申請をしに行きました。
警察の窓口もよくわかっていて、申請もあっけなく済みました。
先輩からは「大都市の交通量が極端に多い路上などでなければ問題なく許可は下りる」と言われた記憶があります。
著しい影響
反対に、道路使用許可申請が曖昧なケースもあります。
曖昧というのは、黙認されるケースです。
どういうケースかというと、情報番組などのようにカメラとリポーターだけで三脚もつけずにインタビューするような内容です。
番組を作る側からすると、仕事の内容は同じなのに使用許可が必ずしも必要ではないケースは判断に迷います。
経験を積むにつれわかってきたのが路上撮影には見えない線引きがあることでした。
![](https://i0.wp.com/oiuy.net/wp-content/uploads/2020/06/2020_06_19_001.png?resize=523%2C448&ssl=1)
ポイントは「一般交通に著しい影響を及ぼすような行為」です。
例えば路上であっても交通量がゼロに近い過疎地の路上で撮影をする場合、所轄の警察署にいちいち許可願いを持って行ったとしても嫌な顔をされるだけです。
影響が及ぶ一般交通がないからです。
多少の通行がある路上でインタビューする行為についても同じです。
手持ちのカメラで撮影するロケクルーの立ち居振る舞いは通行人と同じです。
数人のロケクルーが通行人と同じ動作で行う規模のものは「一般交通に著しい影響を及ぼす」ことには当たらないとされます。
ただし注意しなくてはならないのがカメラを固定する三脚です。
道路交通法第76条では、何人もいかなる場合にあっても、交通の妨害となるような方法で物をみだりに道路に置いたり、道路上の人や車を損傷させるおそれのある物を投げるなどの行為を行うことは禁止(絶対的禁止行為)されています。
道路使用許可の概要、申請手続等|警察庁Webサイト
三脚を置く行為は「物をみだりに道路に置く」行為に該当します。
カメラを三脚に載せることは通行の邪魔になる撮影に当たる可能性もあります。判断するのは管理者の側なので迷ったら確認した方が安心です。
申請について
撮影をする側がしっかり持っておきたいのが、なんのために撮影するかという明確な理由です。
ガイドラインにはこんなことが明記されています。
地域活性化等に資するという社会的な意義があり、地域住民、道路利用者等の合意に基づいて行われるイベント等については、道路使用許可手続が円滑に行われるよう配意した運用を実施しています。
道路使用許可の概要、申請手続等|警察庁Webサイト
申請にあたっては使用許可の理念を踏まえた上で配慮を持って行うことが大切です。
- 許可が下りるには3営業日程度はかかるので早めに申請する
- 撮影にあたっては許可条件を遵守する
- 地域や周辺住民の理解が得られるよう心がける
- 当日は申請した現場責任者が必ず立ち会う
撮影の日時、場所や照明機材の扱い方、階段やエスカレーターなどでの撮影など、許可を受ける際の注意すべき事項は東京都のフィルムコミッションの「東京ロケーションボックス」ホームベージなどに記載されています。
公共の場所を使っての撮影には事前に説明をよく読み、十分な注意を払って行いましょう。
道路での撮影について|制作者の方へ|東京ロケーションボックス
まとめ
撮影許可願いは、動画制作をスムーズに進めるために欠かせない手続きです。誠意を持って分かりやすい書類を作成することで、相手にも安心感を与え、許可が得られやすくなります。初心者の方もこの記事を参考に、まずは小規模な撮影から挑戦してみてください!
こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 撮影許可願い を書きます。