撮影時の音つぶれ ノイズとゲインの対策法

フルタニ

こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 撮影時の音つぶれ を書きます。

撮影した動画の音が割れていたことありませんか。

残念ながら、割れた音は元に戻りません。

写真でいう画面の「白トビ・黒つぶれ」のようなものです。

情報が限度を超えて記録されたため飽和状態になり、元に戻せなくなったのです。

このようなことを避けるため、撮影段階で気をつけなくてはなりません。

私がやらかした失敗を元に検証します。

撮影時の音つぶれ ノイズとゲインの対策法

今回の撮影場所は強い風が吹き抜ける河川敷。川を渡る鉄道の音も豪快です。ピンマイクを使うことでなんとか風の音は防ぐことはできましたが、別の問題が起きました。インタビューした音声が割れています。

音が割れた原因は使用するマイクと音量設定にあります。

この記事ではその二つの問題の改善策を考えます。

カメラマイクにも弱点がある

カメラマイクは特定の方向から来る音だけを狙って収音できるように設計されています。

防ぎきれないのが、マイクを向けた方向からの音です。

マイクの指向性があだとなりいらない音を拾ってしまいます。

屋外での撮影は風防の付いたマイクで撮影します。

収録場所は河川敷のため風は遮るものもなくカメラに直接当たります。

風だけではなく交通量も多い場所での収録です。

そこでインタビュー相手にピンマイクを付け、ワイヤレスで収録する方法をつかうことにしました。

ピンマイクを使う

声だけをしっかり録るためピンマイクで収録することにしました。

カメラの端子にイヤホンを付け、音の具合を確かめると風の音や環境が発生する音は聞こえません。

収録を終え、編集を始めたところ、音の様子がおかしいことに気づきました。

音が割れる

素材を試写してみると全体に音が大きく聞こえます。

ピークの部分は音がつぶれて聞こえます。ボリュームを下げても音の割れはなくなりません。

編集の音量レベルを見ると強い音が降り切れています。

ピンマイクをワイヤレスマイクに接続する手順には問題はなかったはずです。

レシーバーのつけたピンマイクを外し、レシーバーの内蔵マイクで聞いてみます。

音は小さくなりました。そして音は割れていません。

ワイヤレスレシーバーに取り付けた外付けマイクに問題があるのではないか。

そこで、ピンマイクをカメラ本体の外部マイク入力端子に付けてみました。

明らかに音が大きく、割れて聞こえます。

レシーバーに付けても、レシーバー内蔵マイクは普通なのに外付けピンマイクは割れます。

マイクには適正な音圧があるといいますが、その音圧に原因があることが見えてきました。

最大音圧レベルとは

最大音圧レベルとはマイクが受け止めきれる音の限界です。

マイクロホンが収音する音が大きくなるに従って、出力信号には歪みが増えてきます。入力音圧レベルが上限を超えると耐えきれずに音がつぶれるのです。

マイクロホンは製品によって感度も違います。特に最大音圧レベルは製品によって違うことはあまり知られていませんが、気を付けておくべき点でした。

そのことに気づかず安い製品を使って撮影したことに問題があったのかもしれません。

不適切なゲインセットアップ

マイクの設定にはもうひとつ重要な調整項目があります。

ゲインです。

マイクのゲインとは、ボリュームと似てはいますがまったく異なるものです。

マイクのゲインとは、マイクで拾った音をどの程度の音量で入力するか、音圧で入力するかを決めるものです。

ゲインは上げすぎると音が歪む原因になります。ピンマイクとワイヤレスマイクの設定にも気を付けておく必要があったようです。

応急処置

音のひずみは直せません。できるのは聞こえる周波数帯を調整して耳に聞こえにくくするだけ、つまりごまかしです。

編集ソフトを使えば多少のノイズを軽減することはできます。しかし音源そのもの以上の音質にすることはできません。

まとめ

カメラとピンマイクの設定が違っていた以上、適正なものに変えるしかなさそうです。抵抗入のピンプラグが必要という情報も耳にしましたが、それで直る保証はありません。

動画撮影ではどうしても映像に注意が向きがちです。しかし、音もまたしっかり録れていなければなりません。

ノイズを防ぐには収録する環境に合わせて適切なマイクを選んで収録すること。音のひずみを避けるには、機材の調整が必要なことがわかりました。次回はメーカー推奨の商品を手に入れて失敗を避けたいと思います。

収録に先立って音に対する気配りは大切だということを痛感しました。