見やすいテロップは視聴者の視認性の向上に役立つことから、動画のクオリティをワンランクアップします。
特に、YouTubeショート動画や、インスタリール、TikTokなどの縦長動画については、テロップの位置の微妙な違いが離脱率に大きくかかわるといわれています。
この記事では、テロップの位置合わせの方法を中心に、DaVinci Resolveでテロップを作る際の注意点についてご案内します。
テロップの位置合わせの方法
よく長サイズの動画ではあまり気にならないテロップの位置。
しかしスマホなどで見る縦長動画では、テロップごとの位置が微妙に違うと、視聴者のストレスにつながります。
何となく見た目で調整している人も多いと思いますが、複数のテロップの位置を一つ一つ手作業で調整するのも結構手間がかかります。
困ったら、調整クリップとグリッドを組み合わせて使うことで位置合わせにの悩みを解決できます。
まずは縦長動画をテロップも含めタイムライン上に配置して縦長動画の編集を完成させます。
このままではテロップが切り替わるたびにカクカク上下に動いて見えにくいので
上の図のように、クリップの上にグリッド線が描かれたことがわかります。
マウスなどで[調整クリップ]を動画の始点から終点に拡大します。
ResolveFXジェネレートから[グリッド]エフェクトを選択し、[調整クリップ]にドラッグ&ドロップすることで追加します。
すると動画全体が碁盤の目のようなグリッドで覆われます。
このグリッドを目安に、テロップの位置合わせをします。
位置合わせが終了したら、[調整クリップ]のあるレイヤーの頭付近にある「ビデオトラックを有効化」のチエックを外して無効にします。
これでグリッドの入った調整クリップは非表示になりテロップの位置合わせは完了です。
あとはデリバーから書き出せばOKです。
目線を上下することなく、画面上部のテロップを見続けることができるので、スマホなどで見る際発生するストレス軽減が期待できます。
見やすいテロップの作り方
フォントを選ぶ
見やすいテロップとは一瞬で何が書かれているかわかること。まずはじめに使うフォントを選びましょう。
動画編集でフォントを追加する方法【DaVinci Rresolve16】 | ぶいろぐ
エンタメ系の動画などに使うようなよほど特殊な演出でないかぎりテロップはわき役です。
視聴者が映像に集中できるように一度決めたフォントは変えないことをお勧めします。
最適なのはゴシック体で、太さを表す単位・ウェイトが太いものの中から選びます。
参考までに私がよく使うフォントはUDデジタル教科書体のウェイトBです。
「UDデジタル教科書体」は、デジタル教科書をはじめとしたICT教育の現場に効果的なユニバーサルデザイン書体です。ロービジョン(弱視)、ディスレクシア(読み書き障害)に配慮したデザインで、リーダビリティについてのエビデンス(科学的根拠)も取得しました。また、2016年度より施行された障害者差別解消法の理念にも基づき設計されています。
文字数とサイズを決める
テロップはワンカットに一枚表示するのが一般的です。
リポート番組などの場合、ワンカットの長さはおおよそ7秒~8秒です。
このタイミングで読み取れる一行の文字数は15字程度なので、文字数を基準に画角に収まるサイズを決めます。
ポイントはカットが表示される時間内にテロップが二度見できるような分量です。
視聴者がストレスなく読み取れるように配慮することが重要です。
チラ見でも書かれていることが理解できれば視聴者はストレスを感じません。
そのため、文章もわかりやすい表現にするのが吉です。
原稿内容に目を配り、読みにくい言葉や映像で見てわかる内容など整理します。
テロップを配置する位置にもこだわります。
画面下に適度なゆとりを持たせて配置すると見やすくなります。
テレビでは編集画面で表示された8割しか表示されません。
そのため編集ソフトには「セーフエリア」という表示ガイドがあります。
DaVinci Resolve17の「セーフエリア」を表示させることができるのでテロップの位置を決める目安にするといいでしょう。
見せ方を工夫する
フォントや文字数など動画の基本が固まったところでテロップの加工をはじめます。
見やすいテロップを作る演出上のポイントは4つあります。
- ドロップシャドウをつける
- 文字の輪郭を強調する
- 文字のバックにザブトンとなるシェイプ(形)を当てる
- 背景の映像にグラデーションをつける
テレビのバラエティ番組などではテロップの演出に徹底してこだわります。
一瞬たりとも視聴者を逃さないためですが、制作者としてはできればやりたくない仕事の一つがテロップともいわれます。
テロップづくりに費やす仕事量は膨大なので、どこまでなら時間を割けるか考えた上で取り掛かりましょう。
効果的なエフェクトのつけ方
シャドウや輪郭線、背景などの加工はテキストごとにできますが、慣れないうちはツールを使うことをお勧めします。
ドロップシャドウをつける
DaVinci Resolve17にはあらかじめテキストにドロップシャドウをつける機能が設定されています。
[テキスト+]でタイムライン上にテロップを書きます。インスペクタの[Shading]から[Shading Elements][Select Elements]にある数字を3に変えると[Priority][Black Shadow]という項目が現れます。
[Enabled]にチェックを入れると自動的に影が入ります。影の濃淡を変えたければ[Opacity]を、色を変えたければ[Type]を[Solid]にして色のスライダーを適宜変えると変わります。
輪郭線を強調する
文字の輪郭線を強調する場合は、[Shading Elements]を2にして[Enabled]にチェックを入れると輪郭線の加工ができるようになります。
輪郭線の太さを変えたい場合は[Thikness]の値を変えます。
さらに太い線にしたい時は右の数字を適宜変えると変更できる範囲が広がります。
文字の背景にザブトンを敷く
背景にシェイプを当てたい場合は[Shading Elements]を2にして[Enabled]にチェックを入れ、[Appearance]にあるアイコンを左から3番目のマークを選択します。
すると文字の背景に長方形のシェイプがザブトンにように配置されます。
背景にシェイプを入れる
テキストなどの情報を際立たせるため動画そのものに手を入れる奥の手があります。
背景とテロップの間にシェイプを入れる方法です。
シェイプを半透明にしたり、グラデーションを入れることで従来にない演出ができます。
例としてDaVinci Resolve17で画面下半分を暗くグラデーションさせる方法を解説します。
背景にする画像の上のレイヤーにジェネレーターから[単色]をくわえます。
[単色]の配色は黒にします。 [単色]を選択したまま[Fusionページに移動]で移動します。ノードの[MediaIn]に[長方形Rectangle]を接続します。
[長方形]のインスペクタから[Width]を2.0にして、[Soft Edge]を0.2にするとグラデーションができあがります。グラデーションを画面下に持っていくため、[Center]のY軸の値を小さくして調整します。
カットページに戻って確認すると画面下が薄暗くなったグラデーションになっていることがわかります。
[不透明度]の調整はカットページのインスペクターの[合成]の下にある[不透明度]のスライドバーを使います。まとめ
テロップの位置をグリッドを使って合わせるやり方はDaVinciResolve独自の方法なので、初めての人は戸惑うかもしれません。
慣れると簡単にテロップやオブジェクトの位置合わせができます。
ぜひお試しください。
こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 見やすいテロップ を書きます。