街角で動画を撮影したとき、偶然人が入り込んでしまったり、音楽が入り込んでしまった。
この場合、そのまま公開していいかどうか迷うことありませんか。
基本的なルールを知っておくと悩まずに済みます。
基本は映っているものには権利があることをわきまえておくことです。
街角の人物や音楽の 映り込み 対策法
撮影された動画が公開されたことで不利益が発生すると百パーセントトラブルに発展します。
街角撮影で配慮が必要になるのは次の2点です。
- 肖像権
- 著作権
肖像権とは、自身の肖像(容姿や姿態)をみだりに利用・公表されない権利のことで、法律上では明文化されていません。
若干あやふやな部分がある権利ですが、要約すると撮影された肖像を公開されることにより精神的な苦痛を受けないように保護を受けることのできる権利です。
動画撮影でよくあるのが、街の雑踏を撮影した映像などです。偶然映り込んだ人の顔がはっきり判別できるようなものなどは、特に注意しなくてはなりません。
なぜかというと、偶然その場所にいたことが、撮影された映像を公開されると困ることになる場合があるからです。例えば、仕事をサボって街を歩いていたのが動画に映っていたことでバレてしまうケースなどです。
放送番組、特にニュースなどのケースでは、公益性の観点から肖像権は認めていません。
つまりニュースで撮影した雑踏に偶然映り込んでしまった個人の権利よりも報道の持つ公益性の方が優先されるのです。
しかし、個人が撮影した動画では肖像権侵害を訴えられる可能性が高いと考えておいた方がいいのです。
著作権のある被写体
街の中には著作物があふれています。広告の看板。店頭に並ぶ商品。
商標やロゴ。流れるBGM。イベントで愛嬌を振りまくゆるキャラ・・・。その全てに権利が張り付いています。
権利とは煎じ詰めると”お金”です。著作物の権利者が持つ利益を侵害したと権利者が判断した瞬間、訴えられるかもしれません。
自分が制作した動画が販売やアフィリエイトなどの営利目的で作られたもので、他社の著作物を意図的に使っている場合はクレームを付けられる可能性があります。
使用する場合は著作物の権利者に使用許諾を得る必要があるのです。
ゆるキャラの撮影はセーフかアウトか
偶然背景にミ●キーマウスが近寄ってきた
カラオケの楽曲を歌う自分の動画
建物の外観はどうなんだ
対応策
ではどうすればいいか。対応策は事前と事後の二つあります。
事前の策は、権利者に了解を取ることです。
不特定多数の人が集まる場で撮影する場合は、撮影する前に「動画を撮影して公開すること」を告知して了解を得ます。
撮影して欲しくない人がいた場合はその存在を確認した上、撮影を避けるか公開前に画像処理をするかして、人物が特定できないように配慮すればいいのです。
著作権のある被写体の場合は、被写体の形態や制作した動画が営利目的であるか否かで対応が異なります。
著作権には著作隣接権や実演者権など様々な権利の総合体なので、個別に確認していくしかありません。
ただし、映っているものの権利が問題となりそうな場合は、画像を加工するなどして著作物への配慮をしっかりしていることを示す方が無難です。
まとめ
最近の経験では、イベント参加者に「どちらから来たのか」と質問しところ、 クライアントから参加者の答えが「個人情報」であると指摘されたことがありました。
「近所から来た」と答えたインタビュー相手には撮影の狙いや掲載媒体などを説明し了解をとりました。
それにもかかわらず、待ったをかけたのは取材相手ではなくクライアントでした。正直おどろきです。
肖像権や著作権への配慮は本来は権利者の経済的な不利益への対応が目的です。
しかし最近は「個人情報保護」への配慮にすり替わっているように感じられます。
制作者はこうした世の中の動きにも対応していかなくてはなりません。
トラブルを避けるには撮影された側に立ってみましょう。
初心者には次の二冊をお勧めします。
著作権は複雑すぎてわからないとお悩みの人は、入門編をひも解くのが一番です。なるべく具体例がある本を選びましょう。元著作権行政の担当者によるこの本は、誰にでもわかるように著作権のポイントが解説されています。
動画制作の現場では様々な課題に直面します。テレビ制作の法務を担当した著者がよくある事案を中心に解決策をまとめた本には街角の映り込みの解決策などが詳しく解説されています。
こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 映り込んで を書きます。