映像制作のながれ

映像制作とは何か
フルタニ
こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。

大学で映像制作の実習を指導したことがあります。

映像に関心を持つ学生さんに、放送局で経験した番組作りの仕事を知ってもらう貴重な機会です。

職場で学んだ経験を思い起こしながら放送番組とは何か振り返りました。

番組作りとは

放送局の番組は内容によって制作工程が異なります。分業化も進み、専門スペシャリストが関わることで品質を支える構造が出来上がっています。

それに対し動画投稿のようにすべての工程を一人で担う場合も増えてきました。誰でも手軽に映像作品が作れる時代です。

映像制作に興味がある人にとって、必ずしも放送局の型に合わせる必要はありません。

しかし、信頼性や品質管理が厳しく問われる放送局が独自に作り上げてきた仕事の形には意味があります。

ここでは、放送局の標準的な番組である情報系番組の制作工程をおさらいしながら、映像制作の基本を考えて行きます。

出発点は好奇心

ものづくりの原点は発意です。発意とは表現したいと思うことです。表現したいと思うことには必ず相手がいます。相手に認められて初めてものづくりの発意は完結します。

映像制作の原点もまた発意です。発意は企画として形になります。映像制作はチームプレイで行われることがほとんどなので、チームの参加者に意図を伝え、協力してもらう必要があります。また、制作者自身にとっても企画にまとめる作業は大きなメリットがあります。

視聴者に認めてもらうこと。共に映像制作に当たる仲間に理解してもらうこと。この二つの目的を達成する上で、企画は映像制作の要なのです。

事前取材・リサーチ

情報系番組の企画をまとめる上で欠かせないのがファクト。つまり事実です。優れた企画も想像だけでは番組として成立しません。「ファクト・ファインティング」と呼ばれるように、きっかけとなる事象や、事象に深く関わる人物などを発見し、番組制作にあたって協力の約束を取り付けることが大切です。

企画

集めた事実を元に、番組として成立させるための作業が企画書作りです。放送局では企画書と予算書をセットにして採択の審査が行われます。番組の大小に関わらずA4サイズ一枚にまとめなければなりません。採択に際して必ず問われるのが「なぜ今なのか」「何が言いたいのか」という問いかけです。視聴者を起点に考えることが放送局の番組作りの基準です。企画の採択がスタートラインです。

取材・ロケハン

企画が採択されると本格取材に入ります。放送される見通しは取材相手に対する説得材料になります。取材で得た成果を元に撮影構成表作りを始めます。映像作品は撮れた映像が全てです。必要な映像を確実に手に入れるため、取材はロケハンもかねて進めることを心に留めましょう。

撮影構成表作り

取材の成果を元に撮影構成表を作ります。実際に撮影したイメージや、コメント案などを盛り込んで表にして行きます。実際に撮影に当たるカメラマンはこの構成表の内容を元に絵作りをします。

構成が固まるにつれ撮影計画が見え始めます。関係者のアポ(予約)とりと予定表作りを並行して進めます。撮影に技術が必要な現場はカメラマンを同行して下見を行います。

構成検討

構成表を元に番組制作の責任者を交えて打ち合わせを行います。企画書の内容と食い違いができていないか、中身の筋立てはどうか。日程や経費、安全確保などの問題は起きていないかなど、撮影以降の計画も合わせて検討し、必要に応じて追加取材や構成の見直しなども行われます。

撮影

撮影構成表を元にカメラマンと打ち合わせを行い撮影に入ります。撮影に際し絵作りに関わることは専門家であるカメラマンに任せ、制作者は取材対象との折衝や日程調整、つまり段取りに全力を注ぎます。撮影中は取材メモを忘れずとります。撮影終了後は速やかに素材チェックを行い、取りこぼしがないか確認を行います。

※撮影計画にないハプニングに遭遇したら、当初の計画を一旦置いてハプニングの撮影に神経を集中させます。構成表が約束するのはあくまで予定調和的な内容だからです。

試写

編集作業に入る前に素材の確認作業(ラッシュ試写)を行います。撮影した映像は一通り試写をして必要な情報はノートにメモします。インタビューの音声は文字に起こします。編集段階でいちいち編集機を操作してカットを探すのは手間なので、作業効率化のためには欠かせない作業です。

構成表作り

ラッシュで確認した映像を元に番組の流れを作ります。放送局では編集作業に入る前に、構成表を使って仮の作品イメージを作るのが普通です。具体的な事物やインタビュー中の決定的な発言など、物語やシーンの核になる映像を中心に流れを可視化して行きます。この段階から編集のプロである編集マンが参加します。

編集作業

編集ソフトを使った作業が始まります。編集マンは構成表を元に絵を繋いで行きます。制作者は編集マンに撮影した映像の情報や意味を伝え、ざっくりと一本の流れにまとめることを目指します。ざっくりと一本にまとめる作業は”荒編集”と呼ばれます。正味時間の倍程度に繋ぐのが普通です。

荒編集ができ次第、番組制作の責任者を交えて試写をします。方向性を確認し、余分なカットを切り捨てたり、足りない映像があれば撮り足したりして再度編集を続けます。二編、三編と進めながらシーンを削り、正味時間に近づけます。

編集作業を分業することには意味があります。締め切り時間が間近に迫っている場合がほとんどです。制作者はナレーション原稿や文字情報の作成を担うことで時間をやりくりせざるを得ないからです。

完プロ作業

完成素材が出来上がったら、ナレーションや文字、音響効果、映像効果を作成します。完成品を作る過程を完プロ作業と言います。音響に関わる作業はMAと呼ばれる工程で行います。専用のスタジオでナレーションを収録し、音響効果担当者が効果音を音付けし、音声技術担当者がそれぞれの音源をミックスします。

MA作業を終えると映像部分の調整です。文字テロップや映像エフェクトを施し完成版が出来上がります。

まとめ

制作担当者は、一連の作業を通じた工程の責任者です。作品が完成した後も編成への登録や広報作業などの雑務があります。経費の処理や権利処理、場合によっては事故への対応などマネジメントも責任を持たなくてなりません。

この時に役に立つのが取材時に作った取材メモです。関係者の氏名や連絡先、取材条件などの記録が作品の品質を支えます。




ABOUTこの記事をかいた人

元テレビ番組制作者。再就職→窓際→WEBコンテンツ制作で復活。64歳にして動画制作に自分の価値を見いだしました。目指すのは地域に根ざした"伝える系"の動画制作です。スキルアップと感謝の気持ちを持ちながら楽しく生きていきます。編集のお手伝いも始める予定です。