映像制作の仕事に未来はあるか

こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてきました。

番組づくりをしていたと言うと、たまに聞かれるのが「映像制作の未来」について。仕事はどうなるかという質問です。とくに放送関係者に多いところに業界を取り巻く不安感を感じます。

映像制作の仕事が激変する予感。技術関係者からオモチャ扱いされていたアクションムービーカメラが、業務用カメラと肩を並べるように現場で使われ始めたのがいい例です。


2時間の映画を3秒でダウンロードできる5Gの時代は目前。 変化に敏感なのは地方の放送局です。数年前、見本市で立ち話した地方局の経営者が「高価な業務用カメラでなくても4Kが撮れるならGo-Proを導入したい」と真顔で語っていたのに驚きました。それから数年たたないうちに東京の制作プロダクションが積極的に使うようなったのを見て、8Kの先行きに不安を覚えました。

変わったのは撮影現場だけではありません。速報性・正確性・信頼性が求められるニュース取材にも、ネットに投稿される動画を見続ける専門チームが稼働しています。放送局内ではとっくの昔に通信との融合時代を見越した変化が始まっています。

10年後の仕事図鑑

ベストセラーとなった「10年後の仕事図鑑」によると、10年~20年後、約47%の人の仕事がなくなると言われています。単純作業だけでなく、医師や弁護士など知識や技術が求められる仕事も変化は避けられません。

では、映像制作の現場はどうなっていくのでしょうか。気になります。未来はあるのか?あるとしたら映像制作者は何をめざしたらいいのか考えます。

放送の仕事は先細る

放送を支えるのは放送法ですから、放送法が変わらない限り安泰です。しかし、制作者目線で見ると、放送はもはや先が見えないと感じます。消滅はしないまでも役割は大きく変わります。

今放送で流されているコンテンツの大半は、ニュースで埋めきれない時間を埋めるための編成上の課題を解決するのが目的です。なにやら発電所が発電をやめられない仕組みに似てなくもありませんが、24時間ニュースを流し続けることはたぶん不可能です。放送局の泣き所をついてきたのがネットフリックスなどの配信サービスです。有料でも自分が見たい番組にはお金を払う人は配信サービスに流れ、放送はお金を払えない人や、デジタルに適応できない高齢者が見るメディアになるという人もいます。

放送が独占的に電波というプラットフォームを実質的に独り占めしてきた時代は数年前に終わりました。ようやく放送局はそれを認め放送ということばを通信にかけ替えました。この議論は十年前から行われていたのですが、電波の割り当てを決めるのは国ですから、国のOKが出ないことには何もできなかったのです。

レッドオーシャンの時代を迎える映像クリエィター

映像制作の未来は二つに分かれると思います。YouTubeをはじめとした動画投稿の世界は競争がこれからますます激化していきます。視聴者が持つ時間は限られているわけですから、その時間の奪い合いがおきるからです。

放送は画面の質で勝負しようとしているように見えます。もはや地上波の夜間時間帯を見てわかるようにどの局も勢いがありません。画面を大きくしたところで視聴者が見たいのは画面の美しさではないことは明白です。放送が価値を発揮するのはニュースなどの即時性と、内容に対する信頼性になるでしょう。

放送から視聴者を奪ったネット動画の世界はどうでしょう。

ネット動画の人気者を見るとわかるのは、企画力とタレント性を持つキャラクターが圧倒的に関心を集めていることです。テレビや映画などでは得られない個人の資質と表現力に出会えることが投稿動画の主流です。

誰でも参加できるネット動画といっても、視聴者の目にとまるためにはよっぽど印象的な動画やキャラクターでないと製菓に繋がりません。トップが一人勝ちする世界で新参者が上り詰めるのは至難の業です。

しかし、タレント性や企画力がないと生き残れないかというと意外にそうでもないことがあることがわかってきました。

スキマを狙えば勝機はある


世界と日本のYouTubeチャネル購読数比較
 socialblade.comのデータから

世界YouTubeチャンネルのランキングを見るとぶっちぎりのトップは日本にも世界にもいるものの、そこそこチャンネルを獲得している中間層が結構いるのです。映像制作のセンスと技術を持っている限り、中間層が求める映像に仕事が発生し続けるはずです。映像制作の力を持つ人に対する需要はゼロではないのです。

ではスキマにはどういう映像があるのでしょうか。考えられるのは瞬発力には欠けるが長く見続ける映像ではないでしょうか。

働き方1.9 君も好きなことだけして生きていける」を書いたお笑いタレントのヒロシさん。今、彼の生活を支えているのはネット動画です。彼が開設したチャンネルは登録者36万。彼はこの人気をタレントとしてではなくテーマ性で獲得しました。

海外に目を転じると、街歩きにこだわった動画や、調理風景を見続けるチャンネルなど、テーマ性の高いチャンネルが多くの登録者を獲得しています。

NIPPON WANDERING TV – YouTube

Peaceful Cuisine – YouTube

インパクトのある動画に目を奪われがちですが、そればかりではないことを見逃して胃ならないと思います。そこにブルーオーシャンが眠っているからです。

人にものを伝える仕事は残る

放送局の番組作りは基本的にものを伝える仕事です。気象情報や株価の情報をAIが原稿にしてバーチャルキャラクターがしゃべるような仕事はいずれなくなるでしょう。しかし人間を取材して人間に伝える仕事はゼロから一を生み出すような仕事です。これはAIが担うまでには相当な時間がかかると思います。

たぶん個人技で勝負できない映像制作者が担うべき仕事はこの分野、映像制作のスペシャリストのような分野かもしれません。

凝った映像は高くつく

あなたが地域コミュニティの広報担当者で、動画を使って講演会の様子を動画にして発信したいと考えたとします。動画制作にあたり見積もりを依頼しました。1人は高い映像制作の技術を持った個人のビデオブロガー、もう1人は同じくプロダクションの制作者。料金ベースで考えた時、どちらに仕事を頼みますか。

アイミツという動画制作・映像制作の比較サイトがあります。そこに映像制作の価格表が掲載されています。インタビューの制作料金が5万円〜、セミナー・イベントの制作料金が15万円〜と具体的に記されています。

この価格設定を高いとみるか安いとみるか。今のところ両社は半々です。それは。業界の取引相手は放送局や企業を相手に考えられているからです。業界相手なら妥当な金額だからです。しかし取引相手が業界から個人ベースの映像投稿者に移っていくに従い、価格は査定されるはずです。商用なら管理費こみで妥当な価格であっても、YouTube投稿レベルの仕上がりで十分という発注者もいるはずです。

カメラ機材は民生用、個人所有のミラーレスデジカメなどで十分。無料ソフトで編集したものをYouTubeで直し、納品で十分。ハードルが低くなれば、手持ち機材で仕事ができる人はゴロゴロいます。簡単なインタビュー程度なら2時間で済みます。

業務の発注者によっては、編集・納品は無料ソフトで十分。撮影も家庭用ビデオレベルで可。とにかく安く上げたいというケースが出てくるでしょう。

個人の信用がビジネスに結びつく

YouTubeに詳しい人の話によると、YouTubeで収入を得るためには審査にパスする必要があるそうです。その時要件は二つ、一つはチャンネル登録者が1,000人を超えること。もう一つが過去 12 か月間の総再生時間が 4,000 時間以上であることです。

反対から見ると条件をパスするためには、何等かの信頼を集めればいいことがわかります。専門性を生かすことに特化していく方法もあります。編集という技術を提供することで共同作業にしてもありでしょう。

動画の世界は拡大し続けるので、何らかのポジションさえとることができればまだまだブルーオーシャンは広がっているのです。

チャンネル登録よろしくお願いします。